アルコールとデータサイエンス 皆さんは『データサイエンス』と聞いてどのようなことを思い浮かべるでしょうか? 近年の情報技術の向上によって得られた大量のデータと、高性能な計算機が開発されたことによる処理の能力によって、データの中から知見を引き出そうという流れが強まっています。その一連の営みのことを『データサイエンス』と呼びます。 今回から始まる、『アルコール×データサイエンス』のシリーズでは アルコール飲料とデータサイエンスの関係性機械学習の大まかな分類とそれぞれの特徴ユーグレナ先端技術研究課でのアルコール飲料におけるデータサイエンス研究の紹介 を三部作でお届けしたいと思います。今回は『アルコール飲料とデータサイエンス』についてお話しさせていただきます。 アルコール飲料とデータサイエンスにどのような関係があるのか?と疑問に思われる方も多いかもしれません。しかしながら、長い間人類を魅了しているアルコール飲料を、もっと美味しいものにしたい!という考えのもと、近年そのような研究開発の重要性が高まっているという背景があります。 例えば、かの有名な『獺祭』を作っている旭酒造は、酒造りにデータサイエンスを取り入れたことで、高い品質の再現性と大量生産を確立しました(現在非公開)。 https://toyokeizai.net/articles/-/41798 酒造りは、伝統的に杜氏という職人文化によって支えられてきました。獺祭では杜氏がいない体制で酒造りをしており、優秀な杜氏がやっていたことを集団でやろうとしています。その中で、様々な形で酒造りの中でデータによる管理を行っています。具体的に挙げると、洗米という米を水洗いする行程では、コメの重量、洗う時間、水温などをすべて数値で計測し、コメに鳩首される水分量を0.2%以下の精度で調整できるようにしています。その日の気温によって少しずつ状況は変わりますので、数値を記録しながらその日に最適な条件にできるようにしてます。ほかにも、発酵の期間中には、さまざまなデータ(アルコール度数、日本酒度、糖度など)を毎日計測し、それぞれをすべて手書きでグラフにしています。毎日、その日に記録したデータから発行の進み具合を分析して、次の日の温度管理などを判断しています。獺祭では年間に900本当いう...
昨今、”精密醗酵(precision fermentation)” と呼ばれる技術の研究が産業レベルまで成熟してきています。 この技術を活用すると、哺乳類に頼らずに微生物の力だけでお肉や牛乳などの食用タンパク質が作れるようになるのです。 世界の食料問題解決のカギとも言われるこの技術についてご紹介いたします。 醗酵のイメージ(MrdidgによるPixabayからの画像) 〇哺乳類由来肉が抱える環境負荷の問題 近年、牛肉や豚肉などの哺乳類由来のタンパク質が与える環境への影響が注目されています。 牛肉や豚肉は当然それぞれ牛や豚からとれるわけですが、これらを育てるためには非常に多くの資源を必要とします。 例えば牛肉は1kg生産するために、飼料として消費されるトウモロコシは11kgに上ると言われています。 知ってる?⽇本の⾷料事情〜⽇本の⾷料⾃給率・⾷料⾃給⼒と⾷料安全保障〜 p.4より(農林水産省) すなわち、牛肉は実際に食べられる量の10倍以上量の別の食べ物を消費しなければ作れないのです。 飼料用のトウモロコシを育てるためにも多量の水・栄養源が消費されていることを考えると、牛肉等の哺乳類由来のタンパク質は、資源消費量の多い高環境負荷な食品ということができます。 世界人口は増加の一途をたどっており、このままでは大規模な飢饉発生すると言われている中で、哺乳類性のタンパク質の生産は大きな負荷になっています。 World Population 1820 2019 – SciFi (sciencefiles.org) この問題の解決のために、哺乳類由来に代わる様々なタンパク質食料の提案がなされています。 例えば植物や培養細胞を使った代替肉や、より環境負荷の低い昆虫食などがこれにあたり、すでに様々な企業が商品化に着手しています。 〇精密醗酵の特徴と代替肉との違い 精密醗酵もこれらに並ぶ、哺乳類に頼らないタンパク質生産法の一つです。 精密醗酵では、カゼインやオボアルブミンなどといった哺乳類由来のタンパク質を、微生物によって作らせる方法です。 これまでの代替肉と違うのは、これらが哺乳類由来とは異...
以前の記事で、体の酸化と抗酸化物質について取り上げましたが、抗酸化物質には様々なものがあるのをご存じですか? 今日はそんな抗酸化物質の一つ、エルゴチオネインについてご紹介します。 エルゴチオネインの構造式 エルゴチオネインは、希少アミノ酸誘導体に分類される天然成分です。 一部のキノコや麹菌、放線菌などの微生物によって作られ、人間は体内で合成することができないため、これらの食品を食べることでのみ体に取り込むことができます。 エルゴチオネインは、非常に強い抗酸化活性を示すことが知られています。人の体内に最も多い抗酸化物質であるグルタチオンと比較すると、最大で30倍ほども高い活性酸素種消去能を持つともいわれています。 このエルゴチオネインが、健康成分として近年にわかに注目を集めてきています。 実は、ヒトの細胞にエルゴチオネインを特異的に取り込む働きをするトランスポーターがあることが明らかになり、ヒト細胞が高濃度にエルゴチオネインを蓄積していることもわかったのです。 人が、元来ヒトの体で作ることができないエルゴチオネインをこれほど積極的に利用しているということは大きなおどろきをもって受け入れられ、その後研究が進み、さらに驚くべきことがいくつもわかりました。 エルゴチオネインは、過酸化脂質と呼ばれ悪性物質の発生原因となるヒドロキシラジカルを唯一直接消去することができます。 また、神経変性疾患(アルツハイマー病やパーキンソン氏病)、うつ病、肌の老化、白内障など、全身の様々な疾患の抑制に効果があることもがわかっています。 このように体にとって非常に有益なエルゴチオネインですが、加齢に伴って細胞への蓄積量が低下することもわかっており、食べて摂取することで様々な加齢に伴う疾患を抑制することができます。 他の抗酸化物質とは異なる強力な活性をもつエルゴチオネインは、未来のエイジングケアの鍵となる素材かもしれません!
Mylc細胞は、ヒトiPS細胞を分化誘導した後、更に不死化した未熟ミエロイド系細胞であり、樹状細胞への分化誘導が可能である。ユーグレナ由来物質においてこれまで確認されてきた免疫応答がMylc細胞を用いた実験でも再現されている。
クロロフィルと銅が反応した銅クロロフィルは光や酸に対して安定で、鮮やかな緑色が特徴、化粧品や食品の添加物として利用されている。ユーグレナから抽出したクロロフィルを用いて銅クロロフィルを作成し、色素として利用 https://youtu.be/w8x37IZfR68
冬になると食べたくなる、牡蠣。実は牡蠣はサステナブルな可能性に溢れた食品だと言うことはご存じでしょうか? 牡蠣殻の主成分は炭酸カルシウム (CaCO3) ですが、牡蠣は成長の過程で海水に溶け込んだCO2を間接的に取り込んで牡蠣殻を合成するため、炭素の固定に寄与することが期待されています。さらに牡蠣養殖は、投餌の必要がないため環境負荷が少ない点、異常発生したプランクトンを摂餌により除去して海洋環境における物質循環の調整役を担う点からも、牡蠣はサステナブルな食材として注目されており、WWFのレポートでも言及されています(https://www.wwf.or.jp/activities/data/20210308resource01.pdf)。 冬になると食べたくなる「牡蠣」 一方、弊社が有する独自素材、微細藻類「ユーグレナ(和名:ミドリムシ)」もサステナビリティへの寄与が期待される食材です。59種類の豊富な栄養素を含み健康食品として利用されるだけでなく、成長時に光合成をしてCO2を吸収するため、人と地球の健康を同時に実現するポテンシャルを持つ素材として注目されています。微細藻類ユーグレナについての紹介記事は⇒こちら 微細藻類「ユーグレナ」 この度、株式会社ユーグレナとうみの株式会社は、これらのサステナブルな素材、ユーグレナと牡蠣を組み合わせて、「フレーバーオイスター ユーグレナ」を共同開発いたしました。 「フレーバーオイスター」はうみの株式会社らが特許出願しました独自技術により作られます。この技術は、飼育水中に懸濁した非水溶性の微粉末を投餌すると牡蠣類が餌と誤認して摂食してしまう点と、牡蠣を海水から水揚げしてしまうと腸管内容物は排出されず保持される、という2つの性質を利用したものであり、任意の素材を取り込ませ、風味づけを行うことができる優れた技術です。 ひと口目は通常の牡蠣、しかし噛み進めると給餌素材の味わいが口に広がっていき、複雑で奥ゆかしい豊かなおいしさが感じられます。 この技術を用いて共同開発しました「フレーバーオイスター ユーグレナ」。断面からは緑色のユーグレナが垣間見られます。ひと口目は通常の牡蠣ですが、二口目から徐々にユーグレナの風味が広がってきます。牡蠣がユーグレナを少し消化したおかげで、ユーグレナ粉...
堆肥製造時にユーグレナを添加することにより発酵促進効果を確認し、特許取得(特許番号6746020)ユーグレナ堆肥を配合した培養土を用いたミニニンジン栽培において根張り向上を確認、ユーグレナ培養土のテスト販売開始(小橋工業株式会社との共同研究) 「ユーグレナ培養土」のパッケージ ユーグレナ培養土を用いたミニニンジン栽培結果
2021年9月、アメリカのスペースX社がついに民間宇宙飛行を達成しました。 驚くべきことに、今回の宇宙飛行を達成した宇宙船『クルードラゴン』は、わずか半年ほどの訓練を経ただけの民間人4名のみをクルーとし、3日間の宇宙飛行ののち地球に帰還しました。 クルードラゴンがISSにドッキングする様子(©NASA) もはや宇宙飛行は我々民間人にとっても夢物語ではなく、生きているうちに人類が宇宙に移住する未来も見えてきているのです。 一方で、そうはいってもまだまだ本格的な宇宙移住に向けて解決するべき課題も山済みです。 特にわかっていないのが宇宙空間が生物に与える影響です。 宇宙空間は、あらゆる意味で地球上とは異なる環境です。大気が違うのはもちろんのこと、無重力環境や高線量な宇宙放射線の照射、数百℃に及ぶ寒暖差など、生物にとって過酷な要素がいくつもあります。 これらによって、宇宙飛行を行った生物はしばしば原因不明な体調不良を訴えることが知られています。 もっともよく試験されるマウスでは、特に肝機能に肝臓の線維化や非アルコール性脂肪肝などのいくつかの障害が見いだされることがわかっています。これらは、いずれも重症化することで肝臓がんへと派生する疾患であり、その原因の特定・対策の開発が望まれます。 株式会社ユーグレナではこの度、独自の解析手法『サルファーインデックス解析』によって、宇宙飛行がマウスの肝臓に悪影響を与える一因を特定いたしました! サルファーインデックス解析は、筑波大学の大津巌生 准教授によって開発された解析手法です。 生体内の酸化還元反応の中核を担う硫黄化合物を網羅的に解析することで、生体内が酸化的なのか還元的なのか、それらは何によって引き起こされているのかなどを明らかにすることができます。 (サルファーインデックスの紹介ページ: https://tech.euglab.jp/sulfur/ ) 当社では、大津先生と特別共同研究を進め、JAXAから譲り受けた宇宙飛行を行ったマウスの肝臓をサルファーインデックス解析によって調べました。 研究の概略図 結果として、宇宙で飼育したマウスは、人工重力のあるなしに関わ...
皆さんは、”ゲノム編集”という言葉を聞いたことがあるでしょうか? 近年、簡便なゲノム編集ツールCRISPR-Cas9(クリスパー・キャスナイン)システムが2020年のノーベル化学賞を受賞したことを皮切りに、メディアなどでも取り上げられることが多くなりました。 読んで字のごとく、ゲノム、すなわち遺伝子を編集することを意味する言葉です。 生命の設計書たる遺伝子を編集などというと、なにやら人智を超えた所業のようにも思えてしまいますが、そんなに超自然なことをしているわけではありません。 そもそも生き物は、環境に対して最適な形へと進化できるよう、常に外部の遺伝子を取り込めるような仕組みを持っているのです。例えば、一度感染したウイルスへの抗体の獲得などがそれにあたります。 植物でも、古くから非常に近いことをしています。交配による品種改良です。我々が普段口にする野菜や果物などは、よりおいしく&より強く&より実を多くつけるように、野生品種から改良を重ねてきたものが市場に出回っています。 さて、前置きが非常に長くなってしまいましたが、今回はそんな品種改良についてご紹介です。 ユーグレナは屋外での培養が難しく、商業目的で大量培養されるようになったのはごく最近です。それゆえに、品種改良と呼べるものがほとんど行われておらず、特に味やにおいなどについては、野生近い状態のままなのです。 そこで私たちは、微細藻類ユーグレナを簡単に品種改良できる手法を開発いたしました。 原理は簡単に説明すると以下の図のようになります。 ユーグレナの品種改良 まず、培養したユーグレナに、重イオンビームという放射線の一種を当てます。 このような高エネルギー波を当てると、ユーグレナのゲノムのあちこちに、もとの遺伝子配列とは異なるランダムな変化が起こることがあります。 その後、変化したユーグレナを、セルソーターという機械で一つ一つより分けていきます。 より分けたユーグレナを育ててみると、形や性質などが野生種とは全く異なるユーグレナがいくつも取れてきます。これらのユーグレナから、これまでの個体よりも良い個体が得られれば、品種改良は成功です! 弊社で...
生命活動の本質は、体の中で起こる無数の酸化還元反応の連鎖です。 食事や呼吸で体内に取り込まれた物質は、酸化還元反応の進み具合(酸化数)を変えながらエネルギーや体を作る物質の一部へと変化し、体内に取り込まれていきます。 さて、この酸化還元反応において、硫黄化合物は非常に重要な役割を果たします。 硫黄(サルファー)は、-2から+6までという非常に幅広い酸化数を取ることができます。これは、それだけ多くの酸化還元反応を行い、様々な物質になれるということ。 それゆえに硫黄化合物は、生体内の酸化還元反応のほぼすべてにかかわるといわれます。 少し大げさに言えば、硫黄化合物の量をみていれば、体の中で起きていることをおおよそ把握することができてしまうのです。 このような考えに従って、筑波大学の大津巌先生によって開発されたのが、サルファーインデックス解析法です(大津先生の研究室HPリンク:https://www.tsukuba1202.com/ )。 生体内に多く存在する硫黄化合物が網羅された超高感度な検出機(LC-MS/MS)を用いて、検出します。 この解析法を用いることで、様々なことがわかります。 例えば、ある環境に置かれた生き物がどの程度のストレスを受けたのか、体の抗酸化を謳う健康商品の抗酸化度がどの程度なのか、あるいは収穫した野菜の真の意味での”新鮮さ”はどの程度なのかなどなどです。 株式会社ユーグレナでは、開発者の大津先生のご協力の元、このサルファーインデックス解析を様々な商品開発に役立てているほか、受託解析も行っております。 受託について、詳しくはこちら https://www.euglena.jp/businessrd/rd/sulfurindex/
アルコールとデータサイエンス 皆さんは『データサイエンス』と聞いてどのようなことを思い浮かべるでしょうか? 近年の情報技術の向上によって得られた大量のデータと、高性能な計算機が開発されたことによる処理の能力によって、データの中から知見を引き出そうという流れが強まっています。その一連の営みのことを『データサイエンス』と呼びます。 今回から始まる、『アルコール×データサイエンス』のシリーズでは アルコール飲料とデータサイエンスの関係性機械学習の大まかな分類とそれぞれの特徴ユーグレナ先端技術研究課でのアルコール飲料におけるデータサイエンス研究の紹介 を三部作でお届けしたいと思います。今回は『アルコール飲料とデータサイエンス』についてお話しさせていただきます。 アルコール飲料とデータサイエンスにどのような関係があるのか?と疑問に思われる方も多いかもしれません。しかしながら、長い間人類を魅了しているアルコール飲料を、もっと美味しいものにしたい!という考えのもと、近年そのような研究開発の重要性が高まっているという背景があります。 例えば、かの有名な『獺祭』を作っている旭酒造は、酒造りにデータサイエンスを取り入れたことで、高い品質の再現性と大量生産を確立しました(現在非公開)。 https://toyokeizai.net/articles/-/41798 酒造りは、伝統的に杜氏という職人文化によって支えられてきました。獺祭では杜氏がいない体制で酒造りをしており、優秀な杜氏がやっていたことを集団でやろうとしています。その中で、様々な形で酒造りの中でデータによる管理を行っています。具体的に挙げると、洗米という米を水洗いする行程では、コメの重量、洗う時間、水温などをすべて数値で計測し、コメに鳩首される水分量を0.2%以下の精度で調整できるようにしています。その日の気温によって少しずつ状況は変わりますので、数値を記録しながらその日に最適な条件にできるようにしてます。ほかにも、発酵の期間中には、さまざまなデータ(アルコール度数、日本酒度、糖度など)を毎日計測し、それぞれをすべて手書きでグラフにしています。毎日、その日に記録したデータから発行の進み具合を分析して、次の日の温度管理などを判断しています。獺祭では年間に900本当いう...
昨今、”精密醗酵(precision fermentation)” と呼ばれる技術の研究が産業レベルまで成熟してきています。 この技術を活用すると、哺乳類に頼らずに微生物の力だけでお肉や牛乳などの食用タンパク質が作れるようになるのです。 世界の食料問題解決のカギとも言われるこの技術についてご紹介いたします。 醗酵のイメージ(MrdidgによるPixabayからの画像) 〇哺乳類由来肉が抱える環境負荷の問題 近年、牛肉や豚肉などの哺乳類由来のタンパク質が与える環境への影響が注目されています。 牛肉や豚肉は当然それぞれ牛や豚からとれるわけですが、これらを育てるためには非常に多くの資源を必要とします。 例えば牛肉は1kg生産するために、飼料として消費されるトウモロコシは11kgに上ると言われています。 知ってる?⽇本の⾷料事情〜⽇本の⾷料⾃給率・⾷料⾃給⼒と⾷料安全保障〜 p.4より(農林水産省) すなわち、牛肉は実際に食べられる量の10倍以上量の別の食べ物を消費しなければ作れないのです。 飼料用のトウモロコシを育てるためにも多量の水・栄養源が消費されていることを考えると、牛肉等の哺乳類由来のタンパク質は、資源消費量の多い高環境負荷な食品ということができます。 世界人口は増加の一途をたどっており、このままでは大規模な飢饉発生すると言われている中で、哺乳類性のタンパク質の生産は大きな負荷になっています。 World Population 1820 2019 – SciFi (sciencefiles.org) この問題の解決のために、哺乳類由来に代わる様々なタンパク質食料の提案がなされています。 例えば植物や培養細胞を使った代替肉や、より環境負荷の低い昆虫食などがこれにあたり、すでに様々な企業が商品化に着手しています。 〇精密醗酵の特徴と代替肉との違い 精密醗酵もこれらに並ぶ、哺乳類に頼らないタンパク質生産法の一つです。 精密醗酵では、カゼインやオボアルブミンなどといった哺乳類由来のタンパク質を、微生物によって作らせる方法です。 これまでの代替肉と違うのは、これらが哺乳類由来とは異...
以前の記事で、体の酸化と抗酸化物質について取り上げましたが、抗酸化物質には様々なものがあるのをご存じですか? 今日はそんな抗酸化物質の一つ、エルゴチオネインについてご紹介します。 エルゴチオネインの構造式 エルゴチオネインは、希少アミノ酸誘導体に分類される天然成分です。 一部のキノコや麹菌、放線菌などの微生物によって作られ、人間は体内で合成することができないため、これらの食品を食べることでのみ体に取り込むことができます。 エルゴチオネインは、非常に強い抗酸化活性を示すことが知られています。人の体内に最も多い抗酸化物質であるグルタチオンと比較すると、最大で30倍ほども高い活性酸素種消去能を持つともいわれています。 このエルゴチオネインが、健康成分として近年にわかに注目を集めてきています。 実は、ヒトの細胞にエルゴチオネインを特異的に取り込む働きをするトランスポーターがあることが明らかになり、ヒト細胞が高濃度にエルゴチオネインを蓄積していることもわかったのです。 人が、元来ヒトの体で作ることができないエルゴチオネインをこれほど積極的に利用しているということは大きなおどろきをもって受け入れられ、その後研究が進み、さらに驚くべきことがいくつもわかりました。 エルゴチオネインは、過酸化脂質と呼ばれ悪性物質の発生原因となるヒドロキシラジカルを唯一直接消去することができます。 また、神経変性疾患(アルツハイマー病やパーキンソン氏病)、うつ病、肌の老化、白内障など、全身の様々な疾患の抑制に効果があることもがわかっています。 このように体にとって非常に有益なエルゴチオネインですが、加齢に伴って細胞への蓄積量が低下することもわかっており、食べて摂取することで様々な加齢に伴う疾患を抑制することができます。 他の抗酸化物質とは異なる強力な活性をもつエルゴチオネインは、未来のエイジングケアの鍵となる素材かもしれません!
Mylc細胞は、ヒトiPS細胞を分化誘導した後、更に不死化した未熟ミエロイド系細胞であり、樹状細胞への分化誘導が可能である。ユーグレナ由来物質においてこれまで確認されてきた免疫応答がMylc細胞を用いた実験でも再現されている。
クロロフィルと銅が反応した銅クロロフィルは光や酸に対して安定で、鮮やかな緑色が特徴、化粧品や食品の添加物として利用されている。ユーグレナから抽出したクロロフィルを用いて銅クロロフィルを作成し、色素として利用 https://youtu.be/w8x37IZfR68
冬になると食べたくなる、牡蠣。実は牡蠣はサステナブルな可能性に溢れた食品だと言うことはご存じでしょうか? 牡蠣殻の主成分は炭酸カルシウム (CaCO3) ですが、牡蠣は成長の過程で海水に溶け込んだCO2を間接的に取り込んで牡蠣殻を合成するため、炭素の固定に寄与することが期待されています。さらに牡蠣養殖は、投餌の必要がないため環境負荷が少ない点、異常発生したプランクトンを摂餌により除去して海洋環境における物質循環の調整役を担う点からも、牡蠣はサステナブルな食材として注目されており、WWFのレポートでも言及されています(https://www.wwf.or.jp/activities/data/20210308resource01.pdf)。 冬になると食べたくなる「牡蠣」 一方、弊社が有する独自素材、微細藻類「ユーグレナ(和名:ミドリムシ)」もサステナビリティへの寄与が期待される食材です。59種類の豊富な栄養素を含み健康食品として利用されるだけでなく、成長時に光合成をしてCO2を吸収するため、人と地球の健康を同時に実現するポテンシャルを持つ素材として注目されています。微細藻類ユーグレナについての紹介記事は⇒こちら 微細藻類「ユーグレナ」 この度、株式会社ユーグレナとうみの株式会社は、これらのサステナブルな素材、ユーグレナと牡蠣を組み合わせて、「フレーバーオイスター ユーグレナ」を共同開発いたしました。 「フレーバーオイスター」はうみの株式会社らが特許出願しました独自技術により作られます。この技術は、飼育水中に懸濁した非水溶性の微粉末を投餌すると牡蠣類が餌と誤認して摂食してしまう点と、牡蠣を海水から水揚げしてしまうと腸管内容物は排出されず保持される、という2つの性質を利用したものであり、任意の素材を取り込ませ、風味づけを行うことができる優れた技術です。 ひと口目は通常の牡蠣、しかし噛み進めると給餌素材の味わいが口に広がっていき、複雑で奥ゆかしい豊かなおいしさが感じられます。 この技術を用いて共同開発しました「フレーバーオイスター ユーグレナ」。断面からは緑色のユーグレナが垣間見られます。ひと口目は通常の牡蠣ですが、二口目から徐々にユーグレナの風味が広がってきます。牡蠣がユーグレナを少し消化したおかげで、ユーグレナ粉...
堆肥製造時にユーグレナを添加することにより発酵促進効果を確認し、特許取得(特許番号6746020)ユーグレナ堆肥を配合した培養土を用いたミニニンジン栽培において根張り向上を確認、ユーグレナ培養土のテスト販売開始(小橋工業株式会社との共同研究) 「ユーグレナ培養土」のパッケージ ユーグレナ培養土を用いたミニニンジン栽培結果
2021年9月、アメリカのスペースX社がついに民間宇宙飛行を達成しました。 驚くべきことに、今回の宇宙飛行を達成した宇宙船『クルードラゴン』は、わずか半年ほどの訓練を経ただけの民間人4名のみをクルーとし、3日間の宇宙飛行ののち地球に帰還しました。 クルードラゴンがISSにドッキングする様子(©NASA) もはや宇宙飛行は我々民間人にとっても夢物語ではなく、生きているうちに人類が宇宙に移住する未来も見えてきているのです。 一方で、そうはいってもまだまだ本格的な宇宙移住に向けて解決するべき課題も山済みです。 特にわかっていないのが宇宙空間が生物に与える影響です。 宇宙空間は、あらゆる意味で地球上とは異なる環境です。大気が違うのはもちろんのこと、無重力環境や高線量な宇宙放射線の照射、数百℃に及ぶ寒暖差など、生物にとって過酷な要素がいくつもあります。 これらによって、宇宙飛行を行った生物はしばしば原因不明な体調不良を訴えることが知られています。 もっともよく試験されるマウスでは、特に肝機能に肝臓の線維化や非アルコール性脂肪肝などのいくつかの障害が見いだされることがわかっています。これらは、いずれも重症化することで肝臓がんへと派生する疾患であり、その原因の特定・対策の開発が望まれます。 株式会社ユーグレナではこの度、独自の解析手法『サルファーインデックス解析』によって、宇宙飛行がマウスの肝臓に悪影響を与える一因を特定いたしました! サルファーインデックス解析は、筑波大学の大津巌生 准教授によって開発された解析手法です。 生体内の酸化還元反応の中核を担う硫黄化合物を網羅的に解析することで、生体内が酸化的なのか還元的なのか、それらは何によって引き起こされているのかなどを明らかにすることができます。 (サルファーインデックスの紹介ページ: https://tech.euglab.jp/sulfur/ ) 当社では、大津先生と特別共同研究を進め、JAXAから譲り受けた宇宙飛行を行ったマウスの肝臓をサルファーインデックス解析によって調べました。 研究の概略図 結果として、宇宙で飼育したマウスは、人工重力のあるなしに関わ...
皆さんは、”ゲノム編集”という言葉を聞いたことがあるでしょうか? 近年、簡便なゲノム編集ツールCRISPR-Cas9(クリスパー・キャスナイン)システムが2020年のノーベル化学賞を受賞したことを皮切りに、メディアなどでも取り上げられることが多くなりました。 読んで字のごとく、ゲノム、すなわち遺伝子を編集することを意味する言葉です。 生命の設計書たる遺伝子を編集などというと、なにやら人智を超えた所業のようにも思えてしまいますが、そんなに超自然なことをしているわけではありません。 そもそも生き物は、環境に対して最適な形へと進化できるよう、常に外部の遺伝子を取り込めるような仕組みを持っているのです。例えば、一度感染したウイルスへの抗体の獲得などがそれにあたります。 植物でも、古くから非常に近いことをしています。交配による品種改良です。我々が普段口にする野菜や果物などは、よりおいしく&より強く&より実を多くつけるように、野生品種から改良を重ねてきたものが市場に出回っています。 さて、前置きが非常に長くなってしまいましたが、今回はそんな品種改良についてご紹介です。 ユーグレナは屋外での培養が難しく、商業目的で大量培養されるようになったのはごく最近です。それゆえに、品種改良と呼べるものがほとんど行われておらず、特に味やにおいなどについては、野生近い状態のままなのです。 そこで私たちは、微細藻類ユーグレナを簡単に品種改良できる手法を開発いたしました。 原理は簡単に説明すると以下の図のようになります。 ユーグレナの品種改良 まず、培養したユーグレナに、重イオンビームという放射線の一種を当てます。 このような高エネルギー波を当てると、ユーグレナのゲノムのあちこちに、もとの遺伝子配列とは異なるランダムな変化が起こることがあります。 その後、変化したユーグレナを、セルソーターという機械で一つ一つより分けていきます。 より分けたユーグレナを育ててみると、形や性質などが野生種とは全く異なるユーグレナがいくつも取れてきます。これらのユーグレナから、これまでの個体よりも良い個体が得られれば、品種改良は成功です! 弊社で...
生命活動の本質は、体の中で起こる無数の酸化還元反応の連鎖です。 食事や呼吸で体内に取り込まれた物質は、酸化還元反応の進み具合(酸化数)を変えながらエネルギーや体を作る物質の一部へと変化し、体内に取り込まれていきます。 さて、この酸化還元反応において、硫黄化合物は非常に重要な役割を果たします。 硫黄(サルファー)は、-2から+6までという非常に幅広い酸化数を取ることができます。これは、それだけ多くの酸化還元反応を行い、様々な物質になれるということ。 それゆえに硫黄化合物は、生体内の酸化還元反応のほぼすべてにかかわるといわれます。 少し大げさに言えば、硫黄化合物の量をみていれば、体の中で起きていることをおおよそ把握することができてしまうのです。 このような考えに従って、筑波大学の大津巌先生によって開発されたのが、サルファーインデックス解析法です(大津先生の研究室HPリンク:https://www.tsukuba1202.com/ )。 生体内に多く存在する硫黄化合物が網羅された超高感度な検出機(LC-MS/MS)を用いて、検出します。 この解析法を用いることで、様々なことがわかります。 例えば、ある環境に置かれた生き物がどの程度のストレスを受けたのか、体の抗酸化を謳う健康商品の抗酸化度がどの程度なのか、あるいは収穫した野菜の真の意味での”新鮮さ”はどの程度なのかなどなどです。 株式会社ユーグレナでは、開発者の大津先生のご協力の元、このサルファーインデックス解析を様々な商品開発に役立てているほか、受託解析も行っております。 受託について、詳しくはこちら https://www.euglena.jp/businessrd/rd/sulfurindex/