アルコールとデータサイエンス 皆さんは『データサイエンス』と聞いてどのようなことを思い浮かべるでしょうか? 近年の情報技術の向上によって得られた大量のデータと、高性能な計算機が開発されたことによる処理の能力によって、データの中から知見を引き出そうという流れが強まっています。その一連の営みのことを『データサイエンス』と呼びます。 今回から始まる、『アルコール×データサイエンス』のシリーズでは アルコール飲料とデータサイエンスの関係性機械学習の大まかな分類とそれぞれの特徴ユーグレナ先端技術研究課でのアルコール飲料におけるデータサイエンス研究の紹介 を三部作でお届けしたいと思います。今回は『アルコール飲料とデータサイエンス』についてお話しさせていただきます。 アルコール飲料とデータサイエンスにどのような関係があるのか?と疑問に思われる方も多いかもしれません。しかしながら、長い間人類を魅了しているアルコール飲料を、もっと美味しいものにしたい!という考えのもと、近年そのような研究開発の重要性が高まっているという背景があります。 例えば、かの有名な『獺祭』を作っている旭酒造は、酒造りにデータサイエンスを取り入れたことで、高い品質の再現性と大量生産を確立しました(現在非公開)。 https://toyokeizai.net/articles/-/41798 酒造りは、伝統的に杜氏という職人文化によって支えられてきました。獺祭では杜氏がいない体制で酒造りをしており、優秀な杜氏がやっていたことを集団でやろうとしています。その中で、様々な形で酒造りの中でデータによる管理を行っています。具体的に挙げると、洗米という米を水洗いする行程では、コメの重量、洗う時間、水温などをすべて数値で計測し、コメに鳩首される水分量を0.2%以下の精度で調整できるようにしています。その日の気温によって少しずつ状況は変わりますので、数値を記録しながらその日に最適な条件にできるようにしてます。ほかにも、発酵の期間中には、さまざまなデータ(アルコール度数、日本酒度、糖度など)を毎日計測し、それぞれをすべて手書きでグラフにしています。毎日、その日に記録したデータから発行の進み具合を分析して、次の日の温度管理などを判断しています。獺祭では年間に900本当いう...
昨今、”精密醗酵(precision fermentation)” と呼ばれる技術の研究が産業レベルまで成熟してきています。 この技術を活用すると、哺乳類に頼らずに微生物の力だけでお肉や牛乳などの食用タンパク質が作れるようになるのです。 世界の食料問題解決のカギとも言われるこの技術についてご紹介いたします。 醗酵のイメージ(MrdidgによるPixabayからの画像) 〇哺乳類由来肉が抱える環境負荷の問題 近年、牛肉や豚肉などの哺乳類由来のタンパク質が与える環境への影響が注目されています。 牛肉や豚肉は当然それぞれ牛や豚からとれるわけですが、これらを育てるためには非常に多くの資源を必要とします。 例えば牛肉は1kg生産するために、飼料として消費されるトウモロコシは11kgに上ると言われています。 知ってる?⽇本の⾷料事情〜⽇本の⾷料⾃給率・⾷料⾃給⼒と⾷料安全保障〜 p.4より(農林水産省) すなわち、牛肉は実際に食べられる量の10倍以上量の別の食べ物を消費しなければ作れないのです。 飼料用のトウモロコシを育てるためにも多量の水・栄養源が消費されていることを考えると、牛肉等の哺乳類由来のタンパク質は、資源消費量の多い高環境負荷な食品ということができます。 世界人口は増加の一途をたどっており、このままでは大規模な飢饉発生すると言われている中で、哺乳類性のタンパク質の生産は大きな負荷になっています。 World Population 1820 2019 – SciFi (sciencefiles.org) この問題の解決のために、哺乳類由来に代わる様々なタンパク質食料の提案がなされています。 例えば植物や培養細胞を使った代替肉や、より環境負荷の低い昆虫食などがこれにあたり、すでに様々な企業が商品化に着手しています。 〇精密醗酵の特徴と代替肉との違い 精密醗酵もこれらに並ぶ、哺乳類に頼らないタンパク質生産法の一つです。 精密醗酵では、カゼインやオボアルブミンなどといった哺乳類由来のタンパク質を、微生物によって作らせる方法です。 これまでの代替肉と違うのは、これらが哺乳類由来とは異...
以前の記事で、体の酸化と抗酸化物質について取り上げましたが、抗酸化物質には様々なものがあるのをご存じですか? 今日はそんな抗酸化物質の一つ、エルゴチオネインについてご紹介します。 エルゴチオネインの構造式 エルゴチオネインは、希少アミノ酸誘導体に分類される天然成分です。 一部のキノコや麹菌、放線菌などの微生物によって作られ、人間は体内で合成することができないため、これらの食品を食べることでのみ体に取り込むことができます。 エルゴチオネインは、非常に強い抗酸化活性を示すことが知られています。人の体内に最も多い抗酸化物質であるグルタチオンと比較すると、最大で30倍ほども高い活性酸素種消去能を持つともいわれています。 このエルゴチオネインが、健康成分として近年にわかに注目を集めてきています。 実は、ヒトの細胞にエルゴチオネインを特異的に取り込む働きをするトランスポーターがあることが明らかになり、ヒト細胞が高濃度にエルゴチオネインを蓄積していることもわかったのです。 人が、元来ヒトの体で作ることができないエルゴチオネインをこれほど積極的に利用しているということは大きなおどろきをもって受け入れられ、その後研究が進み、さらに驚くべきことがいくつもわかりました。 エルゴチオネインは、過酸化脂質と呼ばれ悪性物質の発生原因となるヒドロキシラジカルを唯一直接消去することができます。 また、神経変性疾患(アルツハイマー病やパーキンソン氏病)、うつ病、肌の老化、白内障など、全身の様々な疾患の抑制に効果があることもがわかっています。 このように体にとって非常に有益なエルゴチオネインですが、加齢に伴って細胞への蓄積量が低下することもわかっており、食べて摂取することで様々な加齢に伴う疾患を抑制することができます。 他の抗酸化物質とは異なる強力な活性をもつエルゴチオネインは、未来のエイジングケアの鍵となる素材かもしれません!
I.概要 第1回エルゴチオネイン・セレノネイン研究会が2020年10月8日(木)にオンラインにて開催されました。特別講演と一般演題合わせて10個の最先端研究の発表が行われ、参加者も200人以上に上り、活発な質疑応答も行われました。プログラムは以下の通りです。 主催:株式会社ユーグレナ 共催:健康長寿食品研究開発プラットフォーム(おー09) 後援:農林水産省 「知」の集積と活用の場 II.演題詳細 ①「エルゴチオネインとヒト認知能の関わり」 〇柳田充弘 名誉教授(沖縄科学技術大学院大学G0細胞ユニット) 京都大学生命科学研究科と沖縄科学技術機構(後に大学院大学)で10年以上前に質量分析機を用いた新規メタボリズム研究を開始し、細胞寿命に関わるタンパク質やメタボライトの同定と機能を追求した(Pluskal et al, Mol. Biosyst. 2009; Takeda et al, PNAS, 2010)。分裂酵母の全メタボローム解析によって抗酸化物質であるエルゴチオネイン(以下EGT)含量が培地のグルコース飢餓により上昇し細胞寿命の延長が伴うことを見出した(Pluskal et al, FEBS J, 2011)。次いで窒素源飢餓でもEGT含量が上昇すること(Sajiki et al Metabolites 2013)を見出し、分裂酵母細胞の栄養飢餓に伴う大きな代謝変化の中でEGT並びにセレノネイン(Pluskal et al 2013 Plos One)など関連メタボライトが関わる代謝変動も判明した。EGTの抗酸化作用が寿命延長と関わるならば、EGTは高等生物にも存在するのでヒトを対象とする研究の意義も予想された。このラインの研究を発展させるために以降ヒト研究は京都大学医学研究科の近藤祥司准教授グループ等との共同研究を開始した。包括的な血液メタボロミックスを行うとヒト血液と分裂酵母のパターンは驚くほどよく似ていた(75%の相同性;Chaleckis et al 2014 Mol Biosyst)。しかしEGT含量は老化度(年齢経過)と関わるという結果はえられなかった。その代わり抗酸化の低下は年齢と共に起きるようであった(Chaleckis et al 2016, PNAS)。一方絶食下でE...
いまさらながら、『ユーグレナ』ってなんのことだかご存じでしょうか? 弊社の企業名であり、2005年に屋外での大量培養に成功した生き物の名前でもあります。 ラテン語で"美しい瞳"を意味するその名前は、緑の体に一点だけある赤い眼点に由来します。 ユーグレナの各部位説明。名の由来の赤い眼点は、実は眼ではない! 動物の仲間でありながら光合成で増殖する不思議な生き物・ユーグレナには、実は様々な種類があります。 今回は、その中の一種『ユーグレナ・グラシリス』をご紹介します。 ユーグレナ・グラシリスの顕微鏡画像 ユーグレナを含む藻類の特徴は、光合成で増殖できることです。日の光とCO2を栄養源にして増えられるため、環境にほとんど負荷を与えずにとってもサステナブルです。しかも、水槽で育てられることから植物と違って広大な耕地面積を必要としません。 ユーグレナがバイオ燃料を作れるとわかってから、二酸化炭素と日光だけでエネルギーが作れるという夢のような材料として世界中から注目を集めました。 中でも多くの人がその大量培養を目指したのがユーグレナ・グラシリスです。 ユーグレナ・グラシリスの最大の特徴は、なんといってもその増殖速度の速さにあります。 最適な環境では約20時間ほどで分裂する性質をもちます。ユーグレナの仲間や、同じくバイオ燃料を作れる藻類であるボツリオコッカスなどが4~8日で分裂するという速度であることを考えると、とびぬけて早いことがわかります。 育てた藻類を商品化する際には、増殖の速さはそのままコストの低さにつながります。藻類ビジネスを成功させるためにはぜひともこのグラシリスを大量培養する必要がある、と多くの人が考えていたわけです。 ユーグレナ・グラシリスとその他のユーグレナの増殖速度比較 そうして注目を集めていたグラシリスは、ユーグレナの中で最もよく研究が進んでいる種でもあります。 研究の結果、グラシリスはバイオ燃料の産生に使えるだけでなく、高い栄養価を持つことや、バイオプラスチックを作れること、水中の有害物質の除去に使える可能性などが明らかになり、ますますその重要性は高まっています。 ユーグレナ社は、20...
ミドリムシのさらなる可能性を求めて、全国のさまざまな地域にいるミドリムシをみなさんと一緒に調べる市民参加型研究「みんなのミドリムシプロジェクト(みんみど)」。世の中を変えるかもしれない発見をみなさんと一緒に分かち合いたい、そんな想いから2019年度より開始しました。 これまでに全国の高校生やご家族の皆さんからミドリムシがいそうな”水”を採取して送ってもらい、株式会社ユーグレナと国立研究開発法人 理化学研究所の共同チーム、微細藻類生産制御技術研究チームで解析を進めています。 これまでの活動についてはこちら(外部リンク) みんみど2021への参加者募集!※募集は終了いたしました。 2021年度のテーマは、「あなたの”ひとすくい”の水が、世界の”救い”になるかもしれない」。 ユーグレナ社主催で、全国の中高生やご家族の皆さんからの水サンプルを募集いたします。これまでの活動が認められたことにより、ユーグレナ社からの予算がつきました。そのため、ご応募された全ての方(先着順)に採取をお願いできるようになりました。感染症対策には十分にご注意いただいた上、皆さんの力をぜひお貸しください! また、参加された方を対象としたオンラインラボツアーまたは座談会も予定(2021年9月ごろ2022年1月以降に変更)しております。採取した水がどのように解析され、役立たとうとしているのかご理解を深めていただける機会になれば幸いです。 ※企画・運営は株式会社ユーグレナが行い、理化学研究所が集まったサンプルの解析に協力します。 対象 ・中高生の皆さん(統括できる教員を含めたチームを作り、応募は教員が代表する) ・ご家族の皆さん(安全に配慮し、大人を含むご家族2名以上で採取する) 参加費用 無料(先着25校の学校および100組のご家族) ※本プロジェクトの運営側は、採取時の事故、トラブル等に起因する損害に対する補償ができませんので、必要な場合は、保険等への加入をお願いします。 応募方法 ※募集は終了いたしました。 各対象者専用の参加応募フォームよりご応募ください。先着順に採取キットをお送りします。 安全面への配慮のため、中高生の皆さんは学校単位で、ご家族単位で未成年の場合は20才以上の責任者の同意と採取時の同伴いただく...
第2回 エルゴチオネイン・セレノネイン研究会 プログラム&抄録集 2021年11月17日(水) 13:00 ~ 16:50 【主 催】株式会社ユーグレナ 【共 催】健康長寿食品研究開発プラットフォーム (お-09) 【後 援】農林水産省 「知」の集積と活用の場 ご挨拶 「第2回エルゴチオネイン・セレノネイン研究会」を2021年11月17日(水)に、株式会社ユーグレナの主催でオンラインにて開催する運びとなりました。 エルゴチオネインは、栄養素的な観点から、「長寿ビタミン」と称されたりもする抗酸化性の有用機能性分子で、我々の食事ではキノコや発酵食品などの成分として多く含まれています。セレノネインは、エルゴチオネインと構造的に類似した抗酸化性分子であり、似て非なる有用性が明らかにされつつあり、マグロ等の魚類の血合いに多く含まれています。近年、エルゴチオネインやセレノネインの生理機能解明に向けた研究が日本並びに世界で精力的に展開され、多様な側面からヒトの健康(認知機能、炎症抑制等々)に資する効能が明らかになってきています。それゆえ、我々の生活に関わる化粧品・医薬品・健康食品等の製品の機能性原料としての実用化も進んでおります。今後は、生産・流通や用途開発・製品化が加速し、エルゴチオネインやセレノネインを中心とする産業・市場構造の本格的な勃興が予想されます。同時に、各種商品開発・市場シェアの獲得等について競争的な時代に突入します。今日現在は、「エルゴチオネイン・セレノネイン産業が開化期を迎えようとしている」という時機と捉えられます。この状況を鑑み、昨年には「エルゴチオネイン・セレノネイン研究会」を発足し、キックオフとして第1回講演会を催しました。幸運にも日本を代表する研究者、企業開発者が集い、一般層にも及ぶ幅広い関係者による各分野の最前線の研究開発、実用化構想等の有益な発表・議論の貴重な機会になりました。これにより、産学融合コミュニティーの連携促進、国民一般消費者への周知・普及の一助になれたかと存じます。次なる一歩を踏み出すべく、今回、第2回の研究会の開催にこぎつけ、昨年に...
Mylc細胞は、ヒトiPS細胞を分化誘導した後、更に不死化した未熟ミエロイド系細胞であり、樹状細胞への分化誘導が可能である。ユーグレナ由来物質においてこれまで確認されてきた免疫応答がMylc細胞を用いた実験でも再現されている。
2021年9月、アメリカのスペースX社がついに民間宇宙飛行を達成しました。 驚くべきことに、今回の宇宙飛行を達成した宇宙船『クルードラゴン』は、わずか半年ほどの訓練を経ただけの民間人4名のみをクルーとし、3日間の宇宙飛行ののち地球に帰還しました。 クルードラゴンがISSにドッキングする様子(©NASA) もはや宇宙飛行は我々民間人にとっても夢物語ではなく、生きているうちに人類が宇宙に移住する未来も見えてきているのです。 一方で、そうはいってもまだまだ本格的な宇宙移住に向けて解決するべき課題も山済みです。 特にわかっていないのが宇宙空間が生物に与える影響です。 宇宙空間は、あらゆる意味で地球上とは異なる環境です。大気が違うのはもちろんのこと、無重力環境や高線量な宇宙放射線の照射、数百℃に及ぶ寒暖差など、生物にとって過酷な要素がいくつもあります。 これらによって、宇宙飛行を行った生物はしばしば原因不明な体調不良を訴えることが知られています。 もっともよく試験されるマウスでは、特に肝機能に肝臓の線維化や非アルコール性脂肪肝などのいくつかの障害が見いだされることがわかっています。これらは、いずれも重症化することで肝臓がんへと派生する疾患であり、その原因の特定・対策の開発が望まれます。 株式会社ユーグレナではこの度、独自の解析手法『サルファーインデックス解析』によって、宇宙飛行がマウスの肝臓に悪影響を与える一因を特定いたしました! サルファーインデックス解析は、筑波大学の大津巌生 准教授によって開発された解析手法です。 生体内の酸化還元反応の中核を担う硫黄化合物を網羅的に解析することで、生体内が酸化的なのか還元的なのか、それらは何によって引き起こされているのかなどを明らかにすることができます。 (サルファーインデックスの紹介ページ: https://tech.euglab.jp/sulfur/ ) 当社では、大津先生と特別共同研究を進め、JAXAから譲り受けた宇宙飛行を行ったマウスの肝臓をサルファーインデックス解析によって調べました。 研究の概略図 結果として、宇宙で飼育したマウスは、人工重力のあるなしに関わ...
皆さんは、”ゲノム編集”という言葉を聞いたことがあるでしょうか? 近年、簡便なゲノム編集ツールCRISPR-Cas9(クリスパー・キャスナイン)システムが2020年のノーベル化学賞を受賞したことを皮切りに、メディアなどでも取り上げられることが多くなりました。 読んで字のごとく、ゲノム、すなわち遺伝子を編集することを意味する言葉です。 生命の設計書たる遺伝子を編集などというと、なにやら人智を超えた所業のようにも思えてしまいますが、そんなに超自然なことをしているわけではありません。 そもそも生き物は、環境に対して最適な形へと進化できるよう、常に外部の遺伝子を取り込めるような仕組みを持っているのです。例えば、一度感染したウイルスへの抗体の獲得などがそれにあたります。 植物でも、古くから非常に近いことをしています。交配による品種改良です。我々が普段口にする野菜や果物などは、よりおいしく&より強く&より実を多くつけるように、野生品種から改良を重ねてきたものが市場に出回っています。 さて、前置きが非常に長くなってしまいましたが、今回はそんな品種改良についてご紹介です。 ユーグレナは屋外での培養が難しく、商業目的で大量培養されるようになったのはごく最近です。それゆえに、品種改良と呼べるものがほとんど行われておらず、特に味やにおいなどについては、野生近い状態のままなのです。 そこで私たちは、微細藻類ユーグレナを簡単に品種改良できる手法を開発いたしました。 原理は簡単に説明すると以下の図のようになります。 ユーグレナの品種改良 まず、培養したユーグレナに、重イオンビームという放射線の一種を当てます。 このような高エネルギー波を当てると、ユーグレナのゲノムのあちこちに、もとの遺伝子配列とは異なるランダムな変化が起こることがあります。 その後、変化したユーグレナを、セルソーターという機械で一つ一つより分けていきます。 より分けたユーグレナを育ててみると、形や性質などが野生種とは全く異なるユーグレナがいくつも取れてきます。これらのユーグレナから、これまでの個体よりも良い個体が得られれば、品種改良は成功です! 弊社で...
アルコールとデータサイエンス 皆さんは『データサイエンス』と聞いてどのようなことを思い浮かべるでしょうか? 近年の情報技術の向上によって得られた大量のデータと、高性能な計算機が開発されたことによる処理の能力によって、データの中から知見を引き出そうという流れが強まっています。その一連の営みのことを『データサイエンス』と呼びます。 今回から始まる、『アルコール×データサイエンス』のシリーズでは アルコール飲料とデータサイエンスの関係性機械学習の大まかな分類とそれぞれの特徴ユーグレナ先端技術研究課でのアルコール飲料におけるデータサイエンス研究の紹介 を三部作でお届けしたいと思います。今回は『アルコール飲料とデータサイエンス』についてお話しさせていただきます。 アルコール飲料とデータサイエンスにどのような関係があるのか?と疑問に思われる方も多いかもしれません。しかしながら、長い間人類を魅了しているアルコール飲料を、もっと美味しいものにしたい!という考えのもと、近年そのような研究開発の重要性が高まっているという背景があります。 例えば、かの有名な『獺祭』を作っている旭酒造は、酒造りにデータサイエンスを取り入れたことで、高い品質の再現性と大量生産を確立しました(現在非公開)。 https://toyokeizai.net/articles/-/41798 酒造りは、伝統的に杜氏という職人文化によって支えられてきました。獺祭では杜氏がいない体制で酒造りをしており、優秀な杜氏がやっていたことを集団でやろうとしています。その中で、様々な形で酒造りの中でデータによる管理を行っています。具体的に挙げると、洗米という米を水洗いする行程では、コメの重量、洗う時間、水温などをすべて数値で計測し、コメに鳩首される水分量を0.2%以下の精度で調整できるようにしています。その日の気温によって少しずつ状況は変わりますので、数値を記録しながらその日に最適な条件にできるようにしてます。ほかにも、発酵の期間中には、さまざまなデータ(アルコール度数、日本酒度、糖度など)を毎日計測し、それぞれをすべて手書きでグラフにしています。毎日、その日に記録したデータから発行の進み具合を分析して、次の日の温度管理などを判断しています。獺祭では年間に900本当いう...
昨今、”精密醗酵(precision fermentation)” と呼ばれる技術の研究が産業レベルまで成熟してきています。 この技術を活用すると、哺乳類に頼らずに微生物の力だけでお肉や牛乳などの食用タンパク質が作れるようになるのです。 世界の食料問題解決のカギとも言われるこの技術についてご紹介いたします。 醗酵のイメージ(MrdidgによるPixabayからの画像) 〇哺乳類由来肉が抱える環境負荷の問題 近年、牛肉や豚肉などの哺乳類由来のタンパク質が与える環境への影響が注目されています。 牛肉や豚肉は当然それぞれ牛や豚からとれるわけですが、これらを育てるためには非常に多くの資源を必要とします。 例えば牛肉は1kg生産するために、飼料として消費されるトウモロコシは11kgに上ると言われています。 知ってる?⽇本の⾷料事情〜⽇本の⾷料⾃給率・⾷料⾃給⼒と⾷料安全保障〜 p.4より(農林水産省) すなわち、牛肉は実際に食べられる量の10倍以上量の別の食べ物を消費しなければ作れないのです。 飼料用のトウモロコシを育てるためにも多量の水・栄養源が消費されていることを考えると、牛肉等の哺乳類由来のタンパク質は、資源消費量の多い高環境負荷な食品ということができます。 世界人口は増加の一途をたどっており、このままでは大規模な飢饉発生すると言われている中で、哺乳類性のタンパク質の生産は大きな負荷になっています。 World Population 1820 2019 – SciFi (sciencefiles.org) この問題の解決のために、哺乳類由来に代わる様々なタンパク質食料の提案がなされています。 例えば植物や培養細胞を使った代替肉や、より環境負荷の低い昆虫食などがこれにあたり、すでに様々な企業が商品化に着手しています。 〇精密醗酵の特徴と代替肉との違い 精密醗酵もこれらに並ぶ、哺乳類に頼らないタンパク質生産法の一つです。 精密醗酵では、カゼインやオボアルブミンなどといった哺乳類由来のタンパク質を、微生物によって作らせる方法です。 これまでの代替肉と違うのは、これらが哺乳類由来とは異...
以前の記事で、体の酸化と抗酸化物質について取り上げましたが、抗酸化物質には様々なものがあるのをご存じですか? 今日はそんな抗酸化物質の一つ、エルゴチオネインについてご紹介します。 エルゴチオネインの構造式 エルゴチオネインは、希少アミノ酸誘導体に分類される天然成分です。 一部のキノコや麹菌、放線菌などの微生物によって作られ、人間は体内で合成することができないため、これらの食品を食べることでのみ体に取り込むことができます。 エルゴチオネインは、非常に強い抗酸化活性を示すことが知られています。人の体内に最も多い抗酸化物質であるグルタチオンと比較すると、最大で30倍ほども高い活性酸素種消去能を持つともいわれています。 このエルゴチオネインが、健康成分として近年にわかに注目を集めてきています。 実は、ヒトの細胞にエルゴチオネインを特異的に取り込む働きをするトランスポーターがあることが明らかになり、ヒト細胞が高濃度にエルゴチオネインを蓄積していることもわかったのです。 人が、元来ヒトの体で作ることができないエルゴチオネインをこれほど積極的に利用しているということは大きなおどろきをもって受け入れられ、その後研究が進み、さらに驚くべきことがいくつもわかりました。 エルゴチオネインは、過酸化脂質と呼ばれ悪性物質の発生原因となるヒドロキシラジカルを唯一直接消去することができます。 また、神経変性疾患(アルツハイマー病やパーキンソン氏病)、うつ病、肌の老化、白内障など、全身の様々な疾患の抑制に効果があることもがわかっています。 このように体にとって非常に有益なエルゴチオネインですが、加齢に伴って細胞への蓄積量が低下することもわかっており、食べて摂取することで様々な加齢に伴う疾患を抑制することができます。 他の抗酸化物質とは異なる強力な活性をもつエルゴチオネインは、未来のエイジングケアの鍵となる素材かもしれません!
I.概要 第1回エルゴチオネイン・セレノネイン研究会が2020年10月8日(木)にオンラインにて開催されました。特別講演と一般演題合わせて10個の最先端研究の発表が行われ、参加者も200人以上に上り、活発な質疑応答も行われました。プログラムは以下の通りです。 主催:株式会社ユーグレナ 共催:健康長寿食品研究開発プラットフォーム(おー09) 後援:農林水産省 「知」の集積と活用の場 II.演題詳細 ①「エルゴチオネインとヒト認知能の関わり」 〇柳田充弘 名誉教授(沖縄科学技術大学院大学G0細胞ユニット) 京都大学生命科学研究科と沖縄科学技術機構(後に大学院大学)で10年以上前に質量分析機を用いた新規メタボリズム研究を開始し、細胞寿命に関わるタンパク質やメタボライトの同定と機能を追求した(Pluskal et al, Mol. Biosyst. 2009; Takeda et al, PNAS, 2010)。分裂酵母の全メタボローム解析によって抗酸化物質であるエルゴチオネイン(以下EGT)含量が培地のグルコース飢餓により上昇し細胞寿命の延長が伴うことを見出した(Pluskal et al, FEBS J, 2011)。次いで窒素源飢餓でもEGT含量が上昇すること(Sajiki et al Metabolites 2013)を見出し、分裂酵母細胞の栄養飢餓に伴う大きな代謝変化の中でEGT並びにセレノネイン(Pluskal et al 2013 Plos One)など関連メタボライトが関わる代謝変動も判明した。EGTの抗酸化作用が寿命延長と関わるならば、EGTは高等生物にも存在するのでヒトを対象とする研究の意義も予想された。このラインの研究を発展させるために以降ヒト研究は京都大学医学研究科の近藤祥司准教授グループ等との共同研究を開始した。包括的な血液メタボロミックスを行うとヒト血液と分裂酵母のパターンは驚くほどよく似ていた(75%の相同性;Chaleckis et al 2014 Mol Biosyst)。しかしEGT含量は老化度(年齢経過)と関わるという結果はえられなかった。その代わり抗酸化の低下は年齢と共に起きるようであった(Chaleckis et al 2016, PNAS)。一方絶食下でE...
いまさらながら、『ユーグレナ』ってなんのことだかご存じでしょうか? 弊社の企業名であり、2005年に屋外での大量培養に成功した生き物の名前でもあります。 ラテン語で"美しい瞳"を意味するその名前は、緑の体に一点だけある赤い眼点に由来します。 ユーグレナの各部位説明。名の由来の赤い眼点は、実は眼ではない! 動物の仲間でありながら光合成で増殖する不思議な生き物・ユーグレナには、実は様々な種類があります。 今回は、その中の一種『ユーグレナ・グラシリス』をご紹介します。 ユーグレナ・グラシリスの顕微鏡画像 ユーグレナを含む藻類の特徴は、光合成で増殖できることです。日の光とCO2を栄養源にして増えられるため、環境にほとんど負荷を与えずにとってもサステナブルです。しかも、水槽で育てられることから植物と違って広大な耕地面積を必要としません。 ユーグレナがバイオ燃料を作れるとわかってから、二酸化炭素と日光だけでエネルギーが作れるという夢のような材料として世界中から注目を集めました。 中でも多くの人がその大量培養を目指したのがユーグレナ・グラシリスです。 ユーグレナ・グラシリスの最大の特徴は、なんといってもその増殖速度の速さにあります。 最適な環境では約20時間ほどで分裂する性質をもちます。ユーグレナの仲間や、同じくバイオ燃料を作れる藻類であるボツリオコッカスなどが4~8日で分裂するという速度であることを考えると、とびぬけて早いことがわかります。 育てた藻類を商品化する際には、増殖の速さはそのままコストの低さにつながります。藻類ビジネスを成功させるためにはぜひともこのグラシリスを大量培養する必要がある、と多くの人が考えていたわけです。 ユーグレナ・グラシリスとその他のユーグレナの増殖速度比較 そうして注目を集めていたグラシリスは、ユーグレナの中で最もよく研究が進んでいる種でもあります。 研究の結果、グラシリスはバイオ燃料の産生に使えるだけでなく、高い栄養価を持つことや、バイオプラスチックを作れること、水中の有害物質の除去に使える可能性などが明らかになり、ますますその重要性は高まっています。 ユーグレナ社は、20...
ミドリムシのさらなる可能性を求めて、全国のさまざまな地域にいるミドリムシをみなさんと一緒に調べる市民参加型研究「みんなのミドリムシプロジェクト(みんみど)」。世の中を変えるかもしれない発見をみなさんと一緒に分かち合いたい、そんな想いから2019年度より開始しました。 これまでに全国の高校生やご家族の皆さんからミドリムシがいそうな”水”を採取して送ってもらい、株式会社ユーグレナと国立研究開発法人 理化学研究所の共同チーム、微細藻類生産制御技術研究チームで解析を進めています。 これまでの活動についてはこちら(外部リンク) みんみど2021への参加者募集!※募集は終了いたしました。 2021年度のテーマは、「あなたの”ひとすくい”の水が、世界の”救い”になるかもしれない」。 ユーグレナ社主催で、全国の中高生やご家族の皆さんからの水サンプルを募集いたします。これまでの活動が認められたことにより、ユーグレナ社からの予算がつきました。そのため、ご応募された全ての方(先着順)に採取をお願いできるようになりました。感染症対策には十分にご注意いただいた上、皆さんの力をぜひお貸しください! また、参加された方を対象としたオンラインラボツアーまたは座談会も予定(2021年9月ごろ2022年1月以降に変更)しております。採取した水がどのように解析され、役立たとうとしているのかご理解を深めていただける機会になれば幸いです。 ※企画・運営は株式会社ユーグレナが行い、理化学研究所が集まったサンプルの解析に協力します。 対象 ・中高生の皆さん(統括できる教員を含めたチームを作り、応募は教員が代表する) ・ご家族の皆さん(安全に配慮し、大人を含むご家族2名以上で採取する) 参加費用 無料(先着25校の学校および100組のご家族) ※本プロジェクトの運営側は、採取時の事故、トラブル等に起因する損害に対する補償ができませんので、必要な場合は、保険等への加入をお願いします。 応募方法 ※募集は終了いたしました。 各対象者専用の参加応募フォームよりご応募ください。先着順に採取キットをお送りします。 安全面への配慮のため、中高生の皆さんは学校単位で、ご家族単位で未成年の場合は20才以上の責任者の同意と採取時の同伴いただく...
第2回 エルゴチオネイン・セレノネイン研究会 プログラム&抄録集 2021年11月17日(水) 13:00 ~ 16:50 【主 催】株式会社ユーグレナ 【共 催】健康長寿食品研究開発プラットフォーム (お-09) 【後 援】農林水産省 「知」の集積と活用の場 ご挨拶 「第2回エルゴチオネイン・セレノネイン研究会」を2021年11月17日(水)に、株式会社ユーグレナの主催でオンラインにて開催する運びとなりました。 エルゴチオネインは、栄養素的な観点から、「長寿ビタミン」と称されたりもする抗酸化性の有用機能性分子で、我々の食事ではキノコや発酵食品などの成分として多く含まれています。セレノネインは、エルゴチオネインと構造的に類似した抗酸化性分子であり、似て非なる有用性が明らかにされつつあり、マグロ等の魚類の血合いに多く含まれています。近年、エルゴチオネインやセレノネインの生理機能解明に向けた研究が日本並びに世界で精力的に展開され、多様な側面からヒトの健康(認知機能、炎症抑制等々)に資する効能が明らかになってきています。それゆえ、我々の生活に関わる化粧品・医薬品・健康食品等の製品の機能性原料としての実用化も進んでおります。今後は、生産・流通や用途開発・製品化が加速し、エルゴチオネインやセレノネインを中心とする産業・市場構造の本格的な勃興が予想されます。同時に、各種商品開発・市場シェアの獲得等について競争的な時代に突入します。今日現在は、「エルゴチオネイン・セレノネイン産業が開化期を迎えようとしている」という時機と捉えられます。この状況を鑑み、昨年には「エルゴチオネイン・セレノネイン研究会」を発足し、キックオフとして第1回講演会を催しました。幸運にも日本を代表する研究者、企業開発者が集い、一般層にも及ぶ幅広い関係者による各分野の最前線の研究開発、実用化構想等の有益な発表・議論の貴重な機会になりました。これにより、産学融合コミュニティーの連携促進、国民一般消費者への周知・普及の一助になれたかと存じます。次なる一歩を踏み出すべく、今回、第2回の研究会の開催にこぎつけ、昨年に...
Mylc細胞は、ヒトiPS細胞を分化誘導した後、更に不死化した未熟ミエロイド系細胞であり、樹状細胞への分化誘導が可能である。ユーグレナ由来物質においてこれまで確認されてきた免疫応答がMylc細胞を用いた実験でも再現されている。
2021年9月、アメリカのスペースX社がついに民間宇宙飛行を達成しました。 驚くべきことに、今回の宇宙飛行を達成した宇宙船『クルードラゴン』は、わずか半年ほどの訓練を経ただけの民間人4名のみをクルーとし、3日間の宇宙飛行ののち地球に帰還しました。 クルードラゴンがISSにドッキングする様子(©NASA) もはや宇宙飛行は我々民間人にとっても夢物語ではなく、生きているうちに人類が宇宙に移住する未来も見えてきているのです。 一方で、そうはいってもまだまだ本格的な宇宙移住に向けて解決するべき課題も山済みです。 特にわかっていないのが宇宙空間が生物に与える影響です。 宇宙空間は、あらゆる意味で地球上とは異なる環境です。大気が違うのはもちろんのこと、無重力環境や高線量な宇宙放射線の照射、数百℃に及ぶ寒暖差など、生物にとって過酷な要素がいくつもあります。 これらによって、宇宙飛行を行った生物はしばしば原因不明な体調不良を訴えることが知られています。 もっともよく試験されるマウスでは、特に肝機能に肝臓の線維化や非アルコール性脂肪肝などのいくつかの障害が見いだされることがわかっています。これらは、いずれも重症化することで肝臓がんへと派生する疾患であり、その原因の特定・対策の開発が望まれます。 株式会社ユーグレナではこの度、独自の解析手法『サルファーインデックス解析』によって、宇宙飛行がマウスの肝臓に悪影響を与える一因を特定いたしました! サルファーインデックス解析は、筑波大学の大津巌生 准教授によって開発された解析手法です。 生体内の酸化還元反応の中核を担う硫黄化合物を網羅的に解析することで、生体内が酸化的なのか還元的なのか、それらは何によって引き起こされているのかなどを明らかにすることができます。 (サルファーインデックスの紹介ページ: https://tech.euglab.jp/sulfur/ ) 当社では、大津先生と特別共同研究を進め、JAXAから譲り受けた宇宙飛行を行ったマウスの肝臓をサルファーインデックス解析によって調べました。 研究の概略図 結果として、宇宙で飼育したマウスは、人工重力のあるなしに関わ...
皆さんは、”ゲノム編集”という言葉を聞いたことがあるでしょうか? 近年、簡便なゲノム編集ツールCRISPR-Cas9(クリスパー・キャスナイン)システムが2020年のノーベル化学賞を受賞したことを皮切りに、メディアなどでも取り上げられることが多くなりました。 読んで字のごとく、ゲノム、すなわち遺伝子を編集することを意味する言葉です。 生命の設計書たる遺伝子を編集などというと、なにやら人智を超えた所業のようにも思えてしまいますが、そんなに超自然なことをしているわけではありません。 そもそも生き物は、環境に対して最適な形へと進化できるよう、常に外部の遺伝子を取り込めるような仕組みを持っているのです。例えば、一度感染したウイルスへの抗体の獲得などがそれにあたります。 植物でも、古くから非常に近いことをしています。交配による品種改良です。我々が普段口にする野菜や果物などは、よりおいしく&より強く&より実を多くつけるように、野生品種から改良を重ねてきたものが市場に出回っています。 さて、前置きが非常に長くなってしまいましたが、今回はそんな品種改良についてご紹介です。 ユーグレナは屋外での培養が難しく、商業目的で大量培養されるようになったのはごく最近です。それゆえに、品種改良と呼べるものがほとんど行われておらず、特に味やにおいなどについては、野生近い状態のままなのです。 そこで私たちは、微細藻類ユーグレナを簡単に品種改良できる手法を開発いたしました。 原理は簡単に説明すると以下の図のようになります。 ユーグレナの品種改良 まず、培養したユーグレナに、重イオンビームという放射線の一種を当てます。 このような高エネルギー波を当てると、ユーグレナのゲノムのあちこちに、もとの遺伝子配列とは異なるランダムな変化が起こることがあります。 その後、変化したユーグレナを、セルソーターという機械で一つ一つより分けていきます。 より分けたユーグレナを育ててみると、形や性質などが野生種とは全く異なるユーグレナがいくつも取れてきます。これらのユーグレナから、これまでの個体よりも良い個体が得られれば、品種改良は成功です! 弊社で...