最近、コンビニやスーパーなどでもらえるレジ袋が有料になりましたね。 これは、従来のプラスチック製ビニール袋が環境へ大きな負荷を与えていることを受けて、身の回りのプラスチックのあり方やライフスタイルを見直すために行われた変更だということです。 従来の石油由来のプラスチックは、作るのにも処分するのにも大量の二酸化炭素を排出します。 また、海洋プラスチック問題などに代表されるように、環境中に放出されたプラスチックはなかなか分解されにくく、時に海洋生物の命を奪ったりもしてしまいます。 今、身近なプラスチックの存在を、世界的に見直すときが来ているのです。 そんな中、注目を集めるのが ”バイオマスプラスチック” です。限りある石油ではなく、再生可能なバイオマス資源から作成したプラスチックのことです。 バイオマスの持つカーボンニュートラル(製造過程でCO2を吸収するので燃やしても空気中のCO2量が増えない)な性質をゆえに従来のプラスチックより環境への負荷が低く、次世代のプラスチックとして注目されています。 我々ユーグレナでも、ミドリムシ由来のバイオマスプラスチックを開発し、その事業化を目指しています。 その名も、『パラレジン』! (左上)ユーグレナの固有成分パラミロン(右上)パラミロン由来プラスチック『パラレジン』(左下)パラレジンから作ったお皿(右下)パラレジンから作ったスプーン・へら ユーグレナの固有成分パラミロンから作り出した樹脂であることから、パラミロンの『パラ』と英語で樹脂を意味する『レジン』を掛け合わせて名づけました。 また、接頭辞のpara-には、「異なる」「別の」などの意味もあり、従来の石油由来プラスチックとは似ているけれど異なる樹脂、という意味も込めています。 パラレジンは、製造の過程を変えることで硬さや柔軟性、熱耐性などの様々な物理的性質を変化させられる可能性があります。 つまり、ビニール袋のように柔らかいものからパソコンのように固いものまでさまざまなものになれるということです。 今世界にあふれる石油由来のプラスチックを、少しでも環境負荷の低いパラレジンで置き換えることを目指して、我々は、複数の企業・団体と共にコンソーシアムを設立しました。 ご興味がございましたら、併せて【事業紹介】パラレジンジャパンコンソーシアムで詳細をご確認下さい。
皆さんは、”ゲノム編集”という言葉を聞いたことがあるでしょうか? 近年、簡便なゲノム編集ツールCRISPR-Cas9(クリスパー・キャスナイン)システムが2020年のノーベル化学賞を受賞したことを皮切りに、メディアなどでも取り上げられることが多くなりました。 読んで字のごとく、ゲノム、すなわち遺伝子を編集することを意味する言葉です。 生命の設計書たる遺伝子を編集などというと、なにやら人智を超えた所業のようにも思えてしまいますが、そんなに超自然なことをしているわけではありません。 そもそも生き物は、環境に対して最適な形へと進化できるよう、常に外部の遺伝子を取り込めるような仕組みを持っているのです。例えば、一度感染したウイルスへの抗体の獲得などがそれにあたります。 植物でも、古くから非常に近いことをしています。交配による品種改良です。我々が普段口にする野菜や果物などは、よりおいしく&より強く&より実を多くつけるように、野生品種から改良を重ねてきたものが市場に出回っています。 さて、前置きが非常に長くなってしまいましたが、今回はそんな品種改良についてご紹介です。 ユーグレナは屋外での培養が難しく、商業目的で大量培養されるようになったのはごく最近です。それゆえに、品種改良と呼べるものがほとんど行われておらず、特に味やにおいなどについては、野生近い状態のままなのです。 そこで私たちは、微細藻類ユーグレナを簡単に品種改良できる手法を開発いたしました。 原理は簡単に説明すると以下の図のようになります。 ユーグレナの品種改良 まず、培養したユーグレナに、重イオンビームという放射線の一種を当てます。 このような高エネルギー波を当てると、ユーグレナのゲノムのあちこちに、もとの遺伝子配列とは異なるランダムな変化が起こることがあります。 その後、変化したユーグレナを、セルソーターという機械で一つ一つより分けていきます。 より分けたユーグレナを育ててみると、形や性質などが野生種とは全く異なるユーグレナがいくつも取れてきます。これらのユーグレナから、これまでの個体よりも良い個体が得られれば、品種改良は成功です! 弊社では、内閣府の競争的獲得研究費によってこのユーグレナの品種改良のための装置の開発・導入を進めてきました。 今では我々は、様々な性質をもったユーグレナを作成・育種することができます。例えば、燃料を多く作るユーグレナ、野生種よりも成長が速いユーグレナ、泳がないユーグレナなどなど… 我々は今後も、ミドリムシが作るサステナブルな社会を目指して、より優れた性質をもつ”スーパーユーグレナ”の作成研究を行っていきます。
(この記事はこちらの記事の続きです⇒【素材紹介】パラレジン) 近年、従来型の石油由来プラスチックの持つ環境負荷の高さを問題視する声が大きく、より環境負荷の少ない、自然由来のプラスチック"バイオマスプラスチック"に注目が集まっています。 プラスチックを石油由来からバイオマス由来に代替することで、なんと1トン当たりCO2量を1.86トン減らすことができるとされています。 我々が新規に開発・製造するミドリムシ由来のバイオマスプラスチック『パラレジン』もその一つです。 しかしながら、このバイオマスプラスチックには、まだまだ従来型プラスチックと比較するとコストが高く、なかなか市場に広がりにくいという側面もあります。 モノづくりにおいては一般に、製造する量が多いほど相対的に製造コストが低く抑えられる傾向にあります。 しかしバイオプラスチックにおいては、コストが高いがゆえに市場から需要が薄く、需要がないがゆえに多く作れずコストが高い、という、本末転倒な悪循環が起こってしまっています。 このような状況では、いつまでたっても石油由来のプラスチックから脱却できません。 我々は、Sustainability firstをフィロソフィーに掲げる企業として、何とかしてこのバイオプラスチックをめぐるジレンマを打破するべく、同じ志を抱く複数の企業・団体と共にコンソーシアムを立ち上げました。 その名も、『パラレジンジャパンコンソーシアム』です! パラレジンジャパンコンソーシアムHP: https://pararesin.euglab.jp/ 本コンソーシアムは、ユーグレナと日本電気株式会社(NEC)とセイコーエプソン株式会社の三社が主幹となり、パラレジンの普及を通じたバイオマスプラスチックのマーケット創出と、事業化の加速を目的に設立されました。 本コンソーシアムでは、古紙などの未利用糖源を活用してユーグレナを培養し、特有成分パラミロンからパラレジンを作成します。作成したパラレジンに様々な物性を与えることで、衣服から家電まで、身の回りの様々な物に使用する予定です。 コンソーシアムでは、この一連の流れにおける課題を、①未利用糖源の規格化、②ユーグレナの培養及びパラミロンの規格化、③様々なパラレジンの作成と規格化 の三つのパートに分けてそれぞれのワーキンググループで解決に向けて取り組みます。 本コンソーシアムには、すでに産・学・官20を超える団体に参加していただいております。 日本政府が令和元年に掲げたプラスチック資源循環戦略では、2030年までに約200トンのバイオプラスチックを導入することを目標としています。 本コンソーシアムでは、その1/10量のバイオプラスチックをパラレジンで補うこと、すなわち、2030年までにパラレジンを20万トン市場に供給することを目標に活動しております。 資源が循環するサステナブルな社会づくりのために、今後とも活動してまいります!
いまさらながら、『ユーグレナ』ってなんのことだかご存じでしょうか? 弊社の企業名であり、2005年に屋外での大量培養に成功した生き物の名前でもあります。 ラテン語で"美しい瞳"を意味するその名前は、緑の体に一点だけある赤い眼点に由来します。 ユーグレナの各部位説明。名の由来の赤い眼点は、実は眼ではない! 動物の仲間でありながら光合成で増殖する不思議な生き物・ユーグレナには、実は様々な種類があります。 今回は、その中の一種『ユーグレナ・グラシリス』をご紹介します。 ユーグレナ・グラシリスの顕微鏡画像 ユーグレナを含む藻類の特徴は、光合成で増殖できることです。日の光とCO2を栄養源にして増えられるため、環境にほとんど負荷を与えずにとってもサステナブルです。しかも、水槽で育てられることから植物と違って広大な耕地面積を必要としません。 ユーグレナがバイオ燃料を作れるとわかってから、二酸化炭素と日光だけでエネルギーが作れるという夢のような材料として世界中から注目を集めました。 中でも多くの人がその大量培養を目指したのがユーグレナ・グラシリスです。 ユーグレナ・グラシリスの最大の特徴は、なんといってもその増殖速度の速さにあります。 最適な環境では約20時間ほどで分裂する性質をもちます。ユーグレナの仲間や、同じくバイオ燃料を作れる藻類であるボツリオコッカスなどが4~8日で分裂するという速度であることを考えると、とびぬけて早いことがわかります。 育てた藻類を商品化する際には、増殖の速さはそのままコストの低さにつながります。藻類ビジネスを成功させるためにはぜひともこのグラシリスを大量培養する必要がある、と多くの人が考えていたわけです。 ユーグレナ・グラシリスとその他のユーグレナの増殖速度比較 そうして注目を集めていたグラシリスは、ユーグレナの中で最もよく研究が進んでいる種でもあります。 研究の結果、グラシリスはバイオ燃料の産生に使えるだけでなく、高い栄養価を持つことや、バイオプラスチックを作れること、水中の有害物質の除去に使える可能性などが明らかになり、ますますその重要性は高まっています。 ユーグレナ社は、2005年に世界で初めてこのユーグレナ・グラシリスの屋外大量培養に成功し、以来15年にわたって商業用大量培養を継続しております。 ユーグレナ・グラシリス研究についても世界のトップランナーとして継続しており、グラシリスの中でも特に増殖の速い株を独自に開発するなど、様々な技術・ノウハウを保有しています。 三重県多気町のユーグレナ屋外培養用プール 今後とも、この魅力的な素材『ユーグレナ・グラシリス』を世界に広めるための活動を続けてまいります!
生命活動の本質は、体の中で起こる無数の酸化還元反応の連鎖です。 食事や呼吸で体内に取り込まれた物質は、酸化還元反応の進み具合(酸化数)を変えながらエネルギーや体を作る物質の一部へと変化し、体内に取り込まれていきます。 さて、この酸化還元反応において、硫黄化合物は非常に重要な役割を果たします。 硫黄(サルファー)は、-2から+6までという非常に幅広い酸化数を取ることができます。これは、それだけ多くの酸化還元反応を行い、様々な物質になれるということ。 それゆえに硫黄化合物は、生体内の酸化還元反応のほぼすべてにかかわるといわれます。 少し大げさに言えば、硫黄化合物の量をみていれば、体の中で起きていることをおおよそ把握することができてしまうのです。 このような考えに従って、筑波大学の大津巌先生によって開発されたのが、サルファーインデックス解析法です(大津先生の研究室HPリンク:https://www.tsukuba1202.com/ )。 生体内に多く存在する硫黄化合物が網羅された超高感度な検出機(LC-MS/MS)を用いて、検出します。 この解析法を用いることで、様々なことがわかります。 例えば、ある環境に置かれた生き物がどの程度のストレスを受けたのか、体の抗酸化を謳う健康商品の抗酸化度がどの程度なのか、あるいは収穫した野菜の真の意味での”新鮮さ”はどの程度なのかなどなどです。 株式会社ユーグレナでは、開発者の大津先生のご協力の元、このサルファーインデックス解析を様々な商品開発に役立てているほか、受託解析も行っております。 受託について、詳しくはこちら https://www.euglena.jp/businessrd/rd/sulfurindex/
ミドリムシのさらなる可能性を求めて、全国のさまざまな地域にいるミドリムシをみなさんと一緒に調べる市民参加型研究「みんなのミドリムシプロジェクト(みんみど)」。世の中を変えるかもしれない発見をみなさんと一緒に分かち合いたい、そんな想いから2019年度より開始しました。 これまでに全国の高校生やご家族の皆さんからミドリムシがいそうな”水”を採取して送ってもらい、株式会社ユーグレナと国立研究開発法人 理化学研究所の共同チーム、微細藻類生産制御技術研究チームで解析を進めています。 これまでの活動についてはこちら(外部リンク) みんみど2021への参加者募集!※募集は終了いたしました。 2021年度のテーマは、「あなたの”ひとすくい”の水が、世界の”救い”になるかもしれない」。 ユーグレナ社主催で、全国の中高生やご家族の皆さんからの水サンプルを募集いたします。これまでの活動が認められたことにより、ユーグレナ社からの予算がつきました。そのため、ご応募された全ての方(先着順)に採取をお願いできるようになりました。感染症対策には十分にご注意いただいた上、皆さんの力をぜひお貸しください! また、参加された方を対象としたオンラインラボツアーまたは座談会も予定(2021年9月ごろ2022年1月以降に変更)しております。採取した水がどのように解析され、役立たとうとしているのかご理解を深めていただける機会になれば幸いです。 ※企画・運営は株式会社ユーグレナが行い、理化学研究所が集まったサンプルの解析に協力します。 対象 ・中高生の皆さん(統括できる教員を含めたチームを作り、応募は教員が代表する) ・ご家族の皆さん(安全に配慮し、大人を含むご家族2名以上で採取する) 参加費用 無料(先着25校の学校および100組のご家族) ※本プロジェクトの運営側は、採取時の事故、トラブル等に起因する損害に対する補償ができませんので、必要な場合は、保険等への加入をお願いします。 応募方法 ※募集は終了いたしました。 各対象者専用の参加応募フォームよりご応募ください。先着順に採取キットをお送りします。 安全面への配慮のため、中高生の皆さんは学校単位で、ご家族単位で未成年の場合は20才以上の責任者の同意と採取時の同伴いただくようお願い致します。またご応募には、注意事項にご同意いただくことが必須となりますのでご了承ください。 採取は、暑い時期に行っていただくのが望ましいため、応募締め切りは8月31日(火)とさせていただきます。準備した採取キットの上限に達した場合、募集を締め切らせていただきます。また、採取は9月中を目安に行い、送付をお願い致します。 みんみど2021についての詳細や注意事項は、下記をご覧ください。 みんみど2021参加者募集について(外部リンク) 問い合わせ先 〒230-0045 横浜市鶴見区末広町1-6 横浜バイオ産業センター 245室 株式会社ユーグレナ 中央研究所 みんなのミドリムシプロジェクト運営担当(ml_minmido"あっと"euglena.jp ) “あっと”を@に変えてください。 サンプル送り先 〒230-0045 横浜市鶴見区末広町1-6 横浜バイオ産業センター 217 室 国立研究開発法人 理化学研究所 科技ハブ産連本部 バトンゾーン研究推進プログラム 微細藻類生産制御技術研究チーム みんなのミドリムシプロジェクト解析担当(minmido”あっと”ml.riken.jp) “あっと”を@に変えてください。 みんみど2021の最新情報は「#みんみど2021」で随時更新! みなさんの採取している様子や感想なども「#みんみど2021」をつけてぜひ投稿してください! #みんみど2021
微細藻類のユーグレナやクロレラの粉末を飼料に育てた世界初の比内地鶏 当社では、たんぱく質をはじめとした豊富な栄養素をもつユーグレナやクロレラを、食材としてのほか、飼料として活用するための研究を進めています。今回の研究では、比内地鶏の特徴とされる黄色味を帯びた脂と、豊富に含まれるうま味成分であるアラキドン酸をより引き出すことを目的に、ユーグレナ粉末とクロレラ粉末を用いた比内地鶏への給餌試験を行いました。その結果、ユーグレナ粉末とクロレラ粉末を与えた比内地鶏では、脂の黄色味がより強くなったほか、アラキドン酸の含有量が増加し、うま味の向上に影響をおよぼす傾向があることが示されました。 今後も当社では、微細藻類ユーグレナを飼料として使用した場合の効果検証を行い、飼料としての価値向上を目指します。
屋外の日射を避けながら、外気を感じられるカフェ。 藻類に囲まれて涼めるカフェテラス 夜には違った様子も楽しめます。 LED照明で補光されている培養槽
ユーグレナの特有成分であるパラミロンを用いたパラミロンレーヨンを開発し、特許取得(特許番号6654264)、細菌に対する増殖阻害作用の向上等を確認(オーミケンシ株式会社との共同研究)
味覚デバイスとは、電気信号で舌を刺激することにより、味を補完したり、唾液分泌を促進させ消化吸収を助けることを目的に開発、楽しい食事と健康維持を期待する。また、未来の食事として、環境負荷の低いユーグレナを100%使用した肉代替ユーグレナハンバーグを試作 味覚デバイス ユーグレナ100%ハンバーグ
最近、コンビニやスーパーなどでもらえるレジ袋が有料になりましたね。 これは、従来のプラスチック製ビニール袋が環境へ大きな負荷を与えていることを受けて、身の回りのプラスチックのあり方やライフスタイルを見直すために行われた変更だということです。 従来の石油由来のプラスチックは、作るのにも処分するのにも大量の二酸化炭素を排出します。 また、海洋プラスチック問題などに代表されるように、環境中に放出されたプラスチックはなかなか分解されにくく、時に海洋生物の命を奪ったりもしてしまいます。 今、身近なプラスチックの存在を、世界的に見直すときが来ているのです。 そんな中、注目を集めるのが ”バイオマスプラスチック” です。限りある石油ではなく、再生可能なバイオマス資源から作成したプラスチックのことです。 バイオマスの持つカーボンニュートラル(製造過程でCO2を吸収するので燃やしても空気中のCO2量が増えない)な性質をゆえに従来のプラスチックより環境への負荷が低く、次世代のプラスチックとして注目されています。 我々ユーグレナでも、ミドリムシ由来のバイオマスプラスチックを開発し、その事業化を目指しています。 その名も、『パラレジン』! (左上)ユーグレナの固有成分パラミロン(右上)パラミロン由来プラスチック『パラレジン』(左下)パラレジンから作ったお皿(右下)パラレジンから作ったスプーン・へら ユーグレナの固有成分パラミロンから作り出した樹脂であることから、パラミロンの『パラ』と英語で樹脂を意味する『レジン』を掛け合わせて名づけました。 また、接頭辞のpara-には、「異なる」「別の」などの意味もあり、従来の石油由来プラスチックとは似ているけれど異なる樹脂、という意味も込めています。 パラレジンは、製造の過程を変えることで硬さや柔軟性、熱耐性などの様々な物理的性質を変化させられる可能性があります。 つまり、ビニール袋のように柔らかいものからパソコンのように固いものまでさまざまなものになれるということです。 今世界にあふれる石油由来のプラスチックを、少しでも環境負荷の低いパラレジンで置き換えることを目指して、我々は、複数の企業・団体と共にコンソーシアムを設立しました。 ご興味がございましたら、併せて【事業紹介】パラレジンジャパンコンソーシアムで詳細をご確認下さい。
皆さんは、”ゲノム編集”という言葉を聞いたことがあるでしょうか? 近年、簡便なゲノム編集ツールCRISPR-Cas9(クリスパー・キャスナイン)システムが2020年のノーベル化学賞を受賞したことを皮切りに、メディアなどでも取り上げられることが多くなりました。 読んで字のごとく、ゲノム、すなわち遺伝子を編集することを意味する言葉です。 生命の設計書たる遺伝子を編集などというと、なにやら人智を超えた所業のようにも思えてしまいますが、そんなに超自然なことをしているわけではありません。 そもそも生き物は、環境に対して最適な形へと進化できるよう、常に外部の遺伝子を取り込めるような仕組みを持っているのです。例えば、一度感染したウイルスへの抗体の獲得などがそれにあたります。 植物でも、古くから非常に近いことをしています。交配による品種改良です。我々が普段口にする野菜や果物などは、よりおいしく&より強く&より実を多くつけるように、野生品種から改良を重ねてきたものが市場に出回っています。 さて、前置きが非常に長くなってしまいましたが、今回はそんな品種改良についてご紹介です。 ユーグレナは屋外での培養が難しく、商業目的で大量培養されるようになったのはごく最近です。それゆえに、品種改良と呼べるものがほとんど行われておらず、特に味やにおいなどについては、野生近い状態のままなのです。 そこで私たちは、微細藻類ユーグレナを簡単に品種改良できる手法を開発いたしました。 原理は簡単に説明すると以下の図のようになります。 ユーグレナの品種改良 まず、培養したユーグレナに、重イオンビームという放射線の一種を当てます。 このような高エネルギー波を当てると、ユーグレナのゲノムのあちこちに、もとの遺伝子配列とは異なるランダムな変化が起こることがあります。 その後、変化したユーグレナを、セルソーターという機械で一つ一つより分けていきます。 より分けたユーグレナを育ててみると、形や性質などが野生種とは全く異なるユーグレナがいくつも取れてきます。これらのユーグレナから、これまでの個体よりも良い個体が得られれば、品種改良は成功です! 弊社では、内閣府の競争的獲得研究費によってこのユーグレナの品種改良のための装置の開発・導入を進めてきました。 今では我々は、様々な性質をもったユーグレナを作成・育種することができます。例えば、燃料を多く作るユーグレナ、野生種よりも成長が速いユーグレナ、泳がないユーグレナなどなど… 我々は今後も、ミドリムシが作るサステナブルな社会を目指して、より優れた性質をもつ”スーパーユーグレナ”の作成研究を行っていきます。
(この記事はこちらの記事の続きです⇒【素材紹介】パラレジン) 近年、従来型の石油由来プラスチックの持つ環境負荷の高さを問題視する声が大きく、より環境負荷の少ない、自然由来のプラスチック"バイオマスプラスチック"に注目が集まっています。 プラスチックを石油由来からバイオマス由来に代替することで、なんと1トン当たりCO2量を1.86トン減らすことができるとされています。 我々が新規に開発・製造するミドリムシ由来のバイオマスプラスチック『パラレジン』もその一つです。 しかしながら、このバイオマスプラスチックには、まだまだ従来型プラスチックと比較するとコストが高く、なかなか市場に広がりにくいという側面もあります。 モノづくりにおいては一般に、製造する量が多いほど相対的に製造コストが低く抑えられる傾向にあります。 しかしバイオプラスチックにおいては、コストが高いがゆえに市場から需要が薄く、需要がないがゆえに多く作れずコストが高い、という、本末転倒な悪循環が起こってしまっています。 このような状況では、いつまでたっても石油由来のプラスチックから脱却できません。 我々は、Sustainability firstをフィロソフィーに掲げる企業として、何とかしてこのバイオプラスチックをめぐるジレンマを打破するべく、同じ志を抱く複数の企業・団体と共にコンソーシアムを立ち上げました。 その名も、『パラレジンジャパンコンソーシアム』です! パラレジンジャパンコンソーシアムHP: https://pararesin.euglab.jp/ 本コンソーシアムは、ユーグレナと日本電気株式会社(NEC)とセイコーエプソン株式会社の三社が主幹となり、パラレジンの普及を通じたバイオマスプラスチックのマーケット創出と、事業化の加速を目的に設立されました。 本コンソーシアムでは、古紙などの未利用糖源を活用してユーグレナを培養し、特有成分パラミロンからパラレジンを作成します。作成したパラレジンに様々な物性を与えることで、衣服から家電まで、身の回りの様々な物に使用する予定です。 コンソーシアムでは、この一連の流れにおける課題を、①未利用糖源の規格化、②ユーグレナの培養及びパラミロンの規格化、③様々なパラレジンの作成と規格化 の三つのパートに分けてそれぞれのワーキンググループで解決に向けて取り組みます。 本コンソーシアムには、すでに産・学・官20を超える団体に参加していただいております。 日本政府が令和元年に掲げたプラスチック資源循環戦略では、2030年までに約200トンのバイオプラスチックを導入することを目標としています。 本コンソーシアムでは、その1/10量のバイオプラスチックをパラレジンで補うこと、すなわち、2030年までにパラレジンを20万トン市場に供給することを目標に活動しております。 資源が循環するサステナブルな社会づくりのために、今後とも活動してまいります!
いまさらながら、『ユーグレナ』ってなんのことだかご存じでしょうか? 弊社の企業名であり、2005年に屋外での大量培養に成功した生き物の名前でもあります。 ラテン語で"美しい瞳"を意味するその名前は、緑の体に一点だけある赤い眼点に由来します。 ユーグレナの各部位説明。名の由来の赤い眼点は、実は眼ではない! 動物の仲間でありながら光合成で増殖する不思議な生き物・ユーグレナには、実は様々な種類があります。 今回は、その中の一種『ユーグレナ・グラシリス』をご紹介します。 ユーグレナ・グラシリスの顕微鏡画像 ユーグレナを含む藻類の特徴は、光合成で増殖できることです。日の光とCO2を栄養源にして増えられるため、環境にほとんど負荷を与えずにとってもサステナブルです。しかも、水槽で育てられることから植物と違って広大な耕地面積を必要としません。 ユーグレナがバイオ燃料を作れるとわかってから、二酸化炭素と日光だけでエネルギーが作れるという夢のような材料として世界中から注目を集めました。 中でも多くの人がその大量培養を目指したのがユーグレナ・グラシリスです。 ユーグレナ・グラシリスの最大の特徴は、なんといってもその増殖速度の速さにあります。 最適な環境では約20時間ほどで分裂する性質をもちます。ユーグレナの仲間や、同じくバイオ燃料を作れる藻類であるボツリオコッカスなどが4~8日で分裂するという速度であることを考えると、とびぬけて早いことがわかります。 育てた藻類を商品化する際には、増殖の速さはそのままコストの低さにつながります。藻類ビジネスを成功させるためにはぜひともこのグラシリスを大量培養する必要がある、と多くの人が考えていたわけです。 ユーグレナ・グラシリスとその他のユーグレナの増殖速度比較 そうして注目を集めていたグラシリスは、ユーグレナの中で最もよく研究が進んでいる種でもあります。 研究の結果、グラシリスはバイオ燃料の産生に使えるだけでなく、高い栄養価を持つことや、バイオプラスチックを作れること、水中の有害物質の除去に使える可能性などが明らかになり、ますますその重要性は高まっています。 ユーグレナ社は、2005年に世界で初めてこのユーグレナ・グラシリスの屋外大量培養に成功し、以来15年にわたって商業用大量培養を継続しております。 ユーグレナ・グラシリス研究についても世界のトップランナーとして継続しており、グラシリスの中でも特に増殖の速い株を独自に開発するなど、様々な技術・ノウハウを保有しています。 三重県多気町のユーグレナ屋外培養用プール 今後とも、この魅力的な素材『ユーグレナ・グラシリス』を世界に広めるための活動を続けてまいります!
生命活動の本質は、体の中で起こる無数の酸化還元反応の連鎖です。 食事や呼吸で体内に取り込まれた物質は、酸化還元反応の進み具合(酸化数)を変えながらエネルギーや体を作る物質の一部へと変化し、体内に取り込まれていきます。 さて、この酸化還元反応において、硫黄化合物は非常に重要な役割を果たします。 硫黄(サルファー)は、-2から+6までという非常に幅広い酸化数を取ることができます。これは、それだけ多くの酸化還元反応を行い、様々な物質になれるということ。 それゆえに硫黄化合物は、生体内の酸化還元反応のほぼすべてにかかわるといわれます。 少し大げさに言えば、硫黄化合物の量をみていれば、体の中で起きていることをおおよそ把握することができてしまうのです。 このような考えに従って、筑波大学の大津巌先生によって開発されたのが、サルファーインデックス解析法です(大津先生の研究室HPリンク:https://www.tsukuba1202.com/ )。 生体内に多く存在する硫黄化合物が網羅された超高感度な検出機(LC-MS/MS)を用いて、検出します。 この解析法を用いることで、様々なことがわかります。 例えば、ある環境に置かれた生き物がどの程度のストレスを受けたのか、体の抗酸化を謳う健康商品の抗酸化度がどの程度なのか、あるいは収穫した野菜の真の意味での”新鮮さ”はどの程度なのかなどなどです。 株式会社ユーグレナでは、開発者の大津先生のご協力の元、このサルファーインデックス解析を様々な商品開発に役立てているほか、受託解析も行っております。 受託について、詳しくはこちら https://www.euglena.jp/businessrd/rd/sulfurindex/
ミドリムシのさらなる可能性を求めて、全国のさまざまな地域にいるミドリムシをみなさんと一緒に調べる市民参加型研究「みんなのミドリムシプロジェクト(みんみど)」。世の中を変えるかもしれない発見をみなさんと一緒に分かち合いたい、そんな想いから2019年度より開始しました。 これまでに全国の高校生やご家族の皆さんからミドリムシがいそうな”水”を採取して送ってもらい、株式会社ユーグレナと国立研究開発法人 理化学研究所の共同チーム、微細藻類生産制御技術研究チームで解析を進めています。 これまでの活動についてはこちら(外部リンク) みんみど2021への参加者募集!※募集は終了いたしました。 2021年度のテーマは、「あなたの”ひとすくい”の水が、世界の”救い”になるかもしれない」。 ユーグレナ社主催で、全国の中高生やご家族の皆さんからの水サンプルを募集いたします。これまでの活動が認められたことにより、ユーグレナ社からの予算がつきました。そのため、ご応募された全ての方(先着順)に採取をお願いできるようになりました。感染症対策には十分にご注意いただいた上、皆さんの力をぜひお貸しください! また、参加された方を対象としたオンラインラボツアーまたは座談会も予定(2021年9月ごろ2022年1月以降に変更)しております。採取した水がどのように解析され、役立たとうとしているのかご理解を深めていただける機会になれば幸いです。 ※企画・運営は株式会社ユーグレナが行い、理化学研究所が集まったサンプルの解析に協力します。 対象 ・中高生の皆さん(統括できる教員を含めたチームを作り、応募は教員が代表する) ・ご家族の皆さん(安全に配慮し、大人を含むご家族2名以上で採取する) 参加費用 無料(先着25校の学校および100組のご家族) ※本プロジェクトの運営側は、採取時の事故、トラブル等に起因する損害に対する補償ができませんので、必要な場合は、保険等への加入をお願いします。 応募方法 ※募集は終了いたしました。 各対象者専用の参加応募フォームよりご応募ください。先着順に採取キットをお送りします。 安全面への配慮のため、中高生の皆さんは学校単位で、ご家族単位で未成年の場合は20才以上の責任者の同意と採取時の同伴いただくようお願い致します。またご応募には、注意事項にご同意いただくことが必須となりますのでご了承ください。 採取は、暑い時期に行っていただくのが望ましいため、応募締め切りは8月31日(火)とさせていただきます。準備した採取キットの上限に達した場合、募集を締め切らせていただきます。また、採取は9月中を目安に行い、送付をお願い致します。 みんみど2021についての詳細や注意事項は、下記をご覧ください。 みんみど2021参加者募集について(外部リンク) 問い合わせ先 〒230-0045 横浜市鶴見区末広町1-6 横浜バイオ産業センター 245室 株式会社ユーグレナ 中央研究所 みんなのミドリムシプロジェクト運営担当(ml_minmido"あっと"euglena.jp ) “あっと”を@に変えてください。 サンプル送り先 〒230-0045 横浜市鶴見区末広町1-6 横浜バイオ産業センター 217 室 国立研究開発法人 理化学研究所 科技ハブ産連本部 バトンゾーン研究推進プログラム 微細藻類生産制御技術研究チーム みんなのミドリムシプロジェクト解析担当(minmido”あっと”ml.riken.jp) “あっと”を@に変えてください。 みんみど2021の最新情報は「#みんみど2021」で随時更新! みなさんの採取している様子や感想なども「#みんみど2021」をつけてぜひ投稿してください! #みんみど2021
微細藻類のユーグレナやクロレラの粉末を飼料に育てた世界初の比内地鶏 当社では、たんぱく質をはじめとした豊富な栄養素をもつユーグレナやクロレラを、食材としてのほか、飼料として活用するための研究を進めています。今回の研究では、比内地鶏の特徴とされる黄色味を帯びた脂と、豊富に含まれるうま味成分であるアラキドン酸をより引き出すことを目的に、ユーグレナ粉末とクロレラ粉末を用いた比内地鶏への給餌試験を行いました。その結果、ユーグレナ粉末とクロレラ粉末を与えた比内地鶏では、脂の黄色味がより強くなったほか、アラキドン酸の含有量が増加し、うま味の向上に影響をおよぼす傾向があることが示されました。 今後も当社では、微細藻類ユーグレナを飼料として使用した場合の効果検証を行い、飼料としての価値向上を目指します。
屋外の日射を避けながら、外気を感じられるカフェ。 藻類に囲まれて涼めるカフェテラス 夜には違った様子も楽しめます。 LED照明で補光されている培養槽
ユーグレナの特有成分であるパラミロンを用いたパラミロンレーヨンを開発し、特許取得(特許番号6654264)、細菌に対する増殖阻害作用の向上等を確認(オーミケンシ株式会社との共同研究)
味覚デバイスとは、電気信号で舌を刺激することにより、味を補完したり、唾液分泌を促進させ消化吸収を助けることを目的に開発、楽しい食事と健康維持を期待する。また、未来の食事として、環境負荷の低いユーグレナを100%使用した肉代替ユーグレナハンバーグを試作 味覚デバイス ユーグレナ100%ハンバーグ