【研究紹介】ユーグレナの品種改良

【研究紹介】ユーグレナの品種改良

2021年9月14日

皆さんは、”ゲノム編集”という言葉を聞いたことがあるでしょうか?

近年、簡便なゲノム編集ツールCRISPR-Cas9(クリスパー・キャスナイン)システムが2020年のノーベル化学賞を受賞したことを皮切りに、メディアなどでも取り上げられることが多くなりました。

読んで字のごとく、ゲノム、すなわち遺伝子を編集することを意味する言葉です。

生命の設計書たる遺伝子を編集などというと、なにやら人智を超えた所業のようにも思えてしまいますが、そんなに超自然なことをしているわけではありません。

そもそも生き物は、環境に対して最適な形へと進化できるよう、常に外部の遺伝子を取り込めるような仕組みを持っているのです。例えば、一度感染したウイルスへの抗体の獲得などがそれにあたります。

植物でも、古くから非常に近いことをしています。交配による品種改良です。我々が普段口にする野菜や果物などは、よりおいしく&より強く&より実を多くつけるように、野生品種から改良を重ねてきたものが市場に出回っています。

さて、前置きが非常に長くなってしまいましたが、今回はそんな品種改良についてご紹介です。

ユーグレナは屋外での培養が難しく、商業目的で大量培養されるようになったのはごく最近です。それゆえに、品種改良と呼べるものがほとんど行われておらず、特に味やにおいなどについては、野生近い状態のままなのです。

そこで私たちは、微細藻類ユーグレナを簡単に品種改良できる手法を開発いたしました。

原理は簡単に説明すると以下の図のようになります。

ユーグレナの品種改良

まず、培養したユーグレナに、重イオンビームという放射線の一種を当てます。

このような高エネルギー波を当てると、ユーグレナのゲノムのあちこちに、もとの遺伝子配列とは異なるランダムな変化が起こることがあります。

その後、変化したユーグレナを、セルソーターという機械で一つ一つより分けていきます。

より分けたユーグレナを育ててみると、形や性質などが野生種とは全く異なるユーグレナがいくつも取れてきます。これらのユーグレナから、これまでの個体よりも良い個体が得られれば、品種改良は成功です!

弊社では、内閣府の競争的獲得研究費によってこのユーグレナの品種改良のための装置の開発・導入を進めてきました。

今では我々は、様々な性質をもったユーグレナを作成・育種することができます。例えば、燃料を多く作るユーグレナ、野生種よりも成長が速いユーグレナ、泳がないユーグレナなどなど…

我々は今後も、ミドリムシが作るサステナブルな社会を目指して、より優れた性質をもつ”スーパーユーグレナ”の作成研究を行っていきます。